- 作者: オルガトカルチュク,小椋彩
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2010/10/19
- メディア: 単行本
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『昼の家、夜の家』オルガ・トカルチュクを読む。
「ポーランドとチェコの国境にある」小さな町で起きたことが、
ランダムに断片で構築されている。
モザイクのような作品。
過去と現在がシャッフルされているが、
断片、小さな話のストーリー性やシチェーション、
あるいは詩のような、ドラマの台本のような
表現自体の面白さに魅了される。
多和田葉子の書く世界をもっといい意味で
デタラメにしたとでも言えばいいのか。
エルゴ・スムというキャラクターが出て来る。
これは、「コギト エルゴ スム=cogito ergo sum 」
「我思う、ゆえに我あり」の下半身部分を
そのまま名前にしたもの。
コギトという上半身の名前を登場人物名にしたのは、
大江健三郎だったね。「古義人」。
訳者あとがきによると、
何でも「ポーランド人はキノコが大好きだ」そうで、
キノコ料理のレシピも多く出て来る。
ここで疑問。
ベニテングタケのタルト。って。
そんな猛毒タルト、一体、誰が食べるのだろう。
昔、ウィーンへ行ったとき、
ノミの市をやっていた。
ある一家が、本当にさっきまで使っていたような家財道具を
売りに出していたことを思い出した。
煤けた鍋や錆びついた包丁など。
それから、肉屋では、日本では見たことのない、
色・形状のソーセージを店頭に並べていた。
ツリーではなくリゾーム的構造の作品。
どっから読んでもいいので、
ぱっと見て気に入ったところを読めばいい。