ムッシュ ムラカミ

いつの間にか、妻が村上春樹の新作を買っていた。
後悔しているようだ。
お下がりが来たら読んでみよう。
それにしてもパンのように売れる本とは。
版元は、ほくほくだろうね。

福島原発避難児童へのイジメが問題になっている。
とかく転校生はイジメられがちだが。
経験者は、そう思う。
ただし、いまの方がより陰湿で件数も増えているような気がする。

ラジオでかまやつひろし追悼番組を聴く。
カントリー&ウエスタン、ロカビリー、GS、フォーク、ポップス、ジャズ。
マイケル・フランクスの『スリーピング・ジプシー』日本盤の
ライナーノーツをムッシュが書いていて、
チェット・ベイカーの系譜にあるマイケル・フランクスとか、
そんな内容。チェット・ベイカーのアルバムを聴いて、はまったり。
あとは、ドラマ「時間ですよ」で演じた、演じてないか、
「釜田質店」の店主役とか。

Youtubeから、この1曲。
バックがタワー・オブ・パワー
で、続けて聴きたくなるこの名曲も。

 

 

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花嫁は~

屋根裏の仏さま (新潮クレスト・ブックス)

屋根裏の仏さま (新潮クレスト・ブックス)


雨がほしいと思うが、雨が降ると止めと思う。
目がかゆく、洟水も起き抜け、とめどなく出るので、
花粉症の市販薬を服用し出す。

『屋根裏の仏さま』ジュリー・オオツカ著を読む。
夫になる人のことを写真だけしか知らないで
アメリカに嫁に行った「写真花嫁」の話。
日系人である作者にとっては
ルーツというかアイデンティティにつながる。

日本人妻たちは、ひっくるめて「わたしたち」で語られる。
写真で見る夫に抱く幻想と現実のギャップ。
ま、これは普通に結婚生活をしていても感じるようなものだけど。

他の移民に比べて文句を言わず、飯も少なくてよく、
真面目に働くという日本人移民の評価は、
燃費が良くて故障しにくいなど日本車の評価にも似ている。

過酷な労働、カルチャーショックなどを
懸命に乗り越えようとする「わたしたち」。
子どもができて果樹園などの仕事も基盤に乗る矢先に、真珠湾攻撃
日本人への評価も一変する。
ナチスドイツがユダヤ人を片端から強制収容所に送り込んだように、
アメリカも日系人強制収容所に幽閉する。

日本人がいなくなった町の記述で終わる。
ここで。砂漠の強制収容所での「わたしたち」の暮らしも
読みたいけどね。

ノンフィクションでもいいのに小説にする。
画家志望だった作者ゆえ描写が絵画っぽい。
「写真花嫁」から見た戦争。
この世界の片隅に』にも通じるものがある。
確かに小説にした価値があると素直に思えた。

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ごらん!! パレードが行くよ

民主主義を直感するために (犀の教室)

民主主義を直感するために (犀の教室)


小沢健二の新譜『流動体について』 で
苦しそうにファルセットで歌うところが頭から離れなくて困る。

テレビで見た小沢健二はどこか大学の文系学部の准教授っぽい風貌。
偶然、似てなくもいないご面相の
『民主主義を直感するために』國分功一郎著を読む。

いろんなことを気づかされたり、うなづいたリ。
ランダムに書いていく。
フランスのデモと日本のデモを比較して。

「デモにおいて「働く」必要はない。高い意識を持ってシュプレヒコールを挙げたり、横断幕を用意したりしなくていい。団子でも食いながら喋っていればいい。ただ歩いていればいい。なぜなら、単に群衆が現れることこそが重要だからだ」

 

 

パレードでいいんだ。

「民主主義の役割の一つは、政府や行政を公開性の原理によって監視し、
その肥大化を防ぎ、健全な統治行為を導くことにあります。私はこれを権力のダイエットと呼んでいます。放っておくと必ず肥大化する権力を民主主義的な手続きで随時、減量させるのです」

 

 

世界のあちこちで権力が肥満しているいまは、民主主義が効いていないときか。

市場原理主義や競争、「人参と鞭」といった考えが幅をきかせているという現実は、我々の社会が、あまり多くのことを考えたくないという方向に向かっていることを示している」

 

大学を専門学校化するのもその線上にあるようだ。即戦力という、まさに余計なことを
考えない、考えられない、都合の良い人間を生産するために。

書評、対談、論考、ルポルタージュなどスタイルもまちまち、
テキストの長さもまちまち。
それが、より考えさせることになっている。
裏声で歌いながら読みふける。

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2017.02.26の5首

CapsLockキーがオンになっています そうさ 大文字の人生 ゆくのさ おれは

仮面夫婦の仮面レスラー  仮面舞踏会へ 花粉症ゆえ 春先はマスクも外せず

同級生から 突然連絡 保険か マルチか カルト宗教か それとも

ポメラニアンが2匹 ブーツ女子にしがみつき 腰をかくかく ちゃう フェイクファー

民衆の熱狂がファシストの孵化器なら たこ焼きは 熱くて丸いファシストたち

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3度読んだ

ジュリエット (新潮クレスト・ブックス)

ジュリエット (新潮クレスト・ブックス)


昔、友人が住んでいた公団に行ったとき、
小柄痩身、甚平姿の老人を見かけた。
鈴木清順だった。
友人に聞いたら、同じ団地住まいとか。

陽炎座』『 ツィゴイネルワイゼン』を
桑沢デザイン研究所の隣に建てられらた
架設テントの映画館で見た。
そのシネマプラセットの仕掛け人、
荒戸 源次郎が昨年亡くなった。で、鈴木清順
総括は、たぶん、週刊文春小林信彦のエッセイで。

『ジュリエット』アリス・マンロー著を読む。
エンタメ系小説のように飛ばし読みができない。
だって、それだと、まったく内容がわからないから。
「ジュリエット三部作」は、3度読んだ。
1度目は下書き、2度目はペン入れ、3度目はベタあるいは着色。
ようやく全貌が見えてきた。ああそういうことかと。
短編なのだが、あえて省略というのか。フェイドアウトだらけ。
俳句みたいに、読む人の想像力にゲタを預ける方式かも。

訳者あとがきで「ジュリエット三部作」が、
ペドロ・アルモドバル監督により
映画化されたことを知る。
母と娘の話だが、小説のままでは映像化しにくいと思う。
感想が書きにくいからということは、
作品のできの判断の目安には決してならない。
あとは、やはり、『パワー』に、うなった。
エスパーだった女性の話。
これがまた作者らしい仕立てで。

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オトナのカイダン、のぼる

青春怪談 (ちくま文庫)

青春怪談 (ちくま文庫)

 

昨日、以前勤務していたデザイン会社の社長から
メールが来た。
会社をたたんだというメールだった。
子どもが後を継ぐという話を小耳にはさんでいたんだけど。
社員時代は最初は期待に添えず迷惑をかけたが、
最後の頃は、割と力になっていたと思う。
企画書の書き方や商品企画の仕事など
文章を書く以外のことで鍛えてもらった。

『青春怪談』獅子文六著を読む。
いやはや、なんて洒落てる、なんて達者。
これぞ、ラブコメ
イケメンでクールな起業家タイプの男性と
スリムで中性的なバレリーナの女性。
二人は自分たちが結婚する前に、
それぞれひとり者である親同士を
一緒にしようと策を図る。
男性はイケメンゆえ怪しげな女性たちが寄ってくる。
二人の目論見は、二人の恋の行方は。

解説の山崎まどかによると、
新聞小説だったのか、これも。
で、2度映画化、1度テレビ化されているそうな。
この面白さは、今でも十分通じる。
キャスティングを妄想する。

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腸内フローラ逍遥

土と内臓 (微生物がつくる世界)

土と内臓 (微生物がつくる世界)


『土と内臓』デイビッド・モントゴメリー アン・ビクレー著を読む。
地質学者の夫と生物学者の妻が、
購入した家の庭の再生から話ははじまる。
ミミズ、コーヒーかす、木材チップでつくる自家製有機肥料
死んだ土の再生に欠かせない微生物の役割。
微生物は、私たちの身体にもつながるテーマ。

腸内フローラ(腸内細菌類)などがクローズアップされているが、
そこもばっちりと書かれている。

参考までに。

 

「私たちの腸には約3万種類、1000兆個に及ぶ細菌類がすんで」いて
「私たちの体を多方面から助け、病気にならないように、また、
老化を防ぐように働いていることがわかっています。」

 

 

「寿命まで左右する!驚異の「腸内フローラ」腹時計が乱れると、万病を引き起こす」藤田 紘一郎 :東京医科歯科大学名誉教授より引用

 

「近年の発見を見れば見るほど、微生物が植物と人間の健康維持に
果たす共通した役割に、私たちは興味をそそられた。
そして私たちは、人間の体表面と体内に住む新しい呼び名―
ヒトマイクロバイオームを知った。地力を回復させ慢性的な現代病の
流行に対抗するのに微生物が役立つことを、私たちは知り始めた。
自然のまったく新しい見方を、私たちは偶然発見したのだ」

 



夫婦の実体験と微生物から有効な新薬の発見などが
サンドウィッチされていて飽きさせない。
がんに罹った妻が、
退院後、食生活をプレバイオティクスに変える。
夫もおつきあいして歩くことをプラスしたら
みるみる体重が減って体調も良くなったと。

畑に化学肥料を使うのと、病気に抗生物質を使うのは似ていると。
微生物によるサイクルをショートカットしてくれるかもしれないが、
思わぬ副作用が生じる。
有機農法、バンザイではないが。

漫画『もやしもん』の主人公は菌が見える能力があったが、
同じように微生物が見えたら、結構怖いかも。

カール・セーガンの元妻、リン・マーギュリス、
知らなんだ。

「すべての多細胞生物は単細胞の生命体、主に細菌が
物理的に合体して発生したと、マーギュリスは提唱した」


で、グールドが噛みついた。とんでも理論だと。
作者の見解。

 

「マーギュリスは微生物に、グールドは化石記録に残った
動植物に重点を置いていた」

 


進化をミクロで見るか、マクロで見るか。
ぼくは前者を支持したい。

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