憂し吐詩

憂し吐詩(うしどし)


銭湯の錆びたトタンの塀が続く、裏路を歩く。
枯葉、煙草の吸殻、かなりの量の吐瀉物。
足が止まる。ハトと思われる肋骨の部位、
しかし肉はきれいにえぐり取られている。
それと羽根の付け根あたりが転がっている。
たぶん、カラスの仕業なのだろう。
咄嗟によぎる、日比谷公園のテント村。
職と住まいを失くした人々。
年末、資金繰りがゆかなくなって自己破産した
中小企業の経営者。
Naritaに着いた人のカートには、円高でお買い得だったブランド品の山。
ぼくは呆けてTVを見ている。
ガザの無差別テロ。
夜な夜な獲物を探しながら自転車を走らせ、ホームレスを撲殺したであろう男。
イスラエルの歩兵とダブる。
グローバリゼーション、小さな政府、自由経済が音を立てて崩れる。
TVでアイスランドの女性が、グローバリゼーションを嘆いていた。
さて、時代の振り子は、どちらに振れるのだろう。
民族主義、大きな政府、保護貿易。そう単純にはいかないだろう。
いかないであってほしい。
庭の南天の実をついばみにくるオナガ
ぼくは黙ってギターを弾いている。


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