「男らしさ」養成ギブスを脱ぎ捨てるためには

これからの男の子たちへ: 「男らしさ」から自由になるためのレッスン

『これからの男の子たちへ-「男らしさ」から自由になるためのレッスン-』太田啓子著を読む。

 

漫画『巨人の星』の主人公・星飛雄馬は、子どものとき、父親から大リーグ養成ギブスを装着させられていた。幼児スパルタ教育、いまならDVの一環になりかねないが、かように男子は「男らしさ」という精神の大リーグ養成ギブスを世間や親から、いやおうなしに押しつけられているのではないだろうか。


本人の気持ちなどおかまい無しに、ステロタイプの「男らしさ」を。でもなあ、それは「教育」ではなくて矯正の矯であり、強制の強でもある「矯(強)育」だよね。

 

どう言えばいいんだろう。体にフィットしない服を着ているような違和感。それを感じながら、生きていく。

 

弁護士で二人の男子の母親でもある著者は、子育てから「ジェンダーバイアス」を実感する。周囲も、当人たちも「男(の子)なら」「男(の子)でしょ」だらけ。たとえば、男の子は元気よく外遊び、女の子はかわいらしく人形遊び。男の子のランドセルは黒、女の子のランドセルは赤。などなど。

 

セクハラもパワハラもそのルーツをたどっていくと「男らしさ」に突き当たるらしい。
で、それは「有害な男らしさ」だと。

「男性性のあり方を考えるうえで、「ホモソーシャル」という言葉もキーワードとしてよく出てくる概念です」「「男のつきあい」「男どうしの友情」「男の絆」といった意味合いで用いられています」


そこでは

「男性同性愛者(ゲイ)は嫌悪され、嘲笑の対象となります。ホモソーシャルな関係性の特徴は、「男らしさ」を共有する男性どうしが連帯してつくる、女性蔑視(ミソジニー)と同性愛嫌悪(ホモフォビア)だといわれています」

 

マッチョ、男性優位主義。学校ならば運動部、会社ならば営業部が浮かぶ。互いに能力を競い、結果がすべて。滅私奉公ではないが、個を犠牲にしてチームワークを最優先する。

 

「そのような「有害な男らしさ」が自分にもインストールされてしまっていることを意識し、その悪影響から脱却することが男性には必要ではないでしょうか。「有害な男らしさ」をめぐるそんな問いかけは、これからの大人の男性に成長していく息子たちの幸せな人生を願う私には、とても大事で切実なものに聞こえます」

 

十代のときに、この本があったら救いになったと思う。小さな男の子がいるあなたにも。

 

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