脳とコンピューターをメタファーで取り上げてはいけない

 

 

『考える脳考えるコンピューター』ジェフ・ホーキンス サンドラ・ブレイクスリー著 伊藤文英訳、 読了。
ところどころピンとくるところがあって、いままで読んできた本ともつながったりした。

「ハンドヘルドコンピューター<Palm>やスマートフォンTreo>の生みの親」として知られる作者。
よく脳とコンピューターをメタファーで取り上げられることが多いことに対して
いきなりNO!をつきつける。

 

○「知能は新皮質に宿っている」

 

「知能は新皮質に宿っている」と。「新皮質はきわめて柔軟で、さまざまな能力を発揮するが、細部の構造は驚くほど均一だ」「人間の新皮質には、ニューロンがぎっしりとつまって」おり、「全体として枝分かれした階層構造を形成している」

 

○「脳はパターンしか理解しない」

 

「脳はパターンを処理する機械だ」「新皮質のさまざまな領域の活動がどれほど異なって見えようとも、そこには共通の基本的なアルゴリズムが働いている」


パターン=シンプルかどうかは、よくわからないのだが、
複雑じゃないゆえに、多少のアクシデントがあっても、それをすばやくリカバリーできる能力があるのではないだろうか。

 

○「人間の認識は、感覚と、脳の記憶から引き出された予測が組みあわさったものなのだ」

 

「新皮質は数千年前にはじめてあらわれ、哺乳類にだけ存在する」
「その大きさは、わずか二〇〇万年前にめざましく拡張した」
「感覚の入力を予測する記憶システムとして、知能と知識は発生した」


「現実世界をどう理解し、それにどう対処していくかは、脳内のモデルからつくられた予測にもとづいている。いかなる時点においても、人間が直接に感じているのは、世界の一部に過ぎない」

なんとなく保坂和志とかぶっているような。

 

「文化と家庭での体験は、人間に固定観念を植えつけるが、残念なことにこれは人間の宿命だ」

「人間に固定観念を捨てさせることはできない。固定観念をつくることが新皮質の機能であり、脳の生来の性質なのだ」

固定観念がもたらす害悪を排除するためには、誤った固定観念に気づき、他者に共感し、権威を疑うことを子供に教える必要がある」

 

まさしく正しい、つーか偏りのない教育だよね。

「懐疑的な態度は科学的手法の真髄であり、虚構と事実を区別する唯一の方法だ」

子供の「懐疑的な態度」って親や先生が最も嫌うものじゃないだろうか。

固定観念」とは換言するならば、悪く言えばバイアス、良く言えば、センスス・コムニス(共通感覚)の型のようなものだろう。
是非は別にして型どられる。ともかくかたどられなければならない。
そっから先は、獲得形質のカテゴリーで自助努力なさいということ、か。


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