よーく、もぐもぐしないと呑み込めないが、刺激的な本であることには間違いない

 

 

『知の挑戦~科学的知性と文化的知性の統合~』エドワード・O・ウィルソンが
遅々として進まないけど、それはひっかかるところが多いということで。

引用2か所。

 

「私たちが意味と呼ぶものは、心象をひろげ情動を引き込む興奮の広がりによってつくられる、複数の神経回路網のつながりである。シナリオの競合的選択が、いわゆる意志決定である。その結果が、勝ち残ったシナリオを本能的なあるいは学習された好ましい状態と照合するというかたちで、次につづく情動の種類と強さを決める。情動が強く持続したものを気分という。新しいシナリオをいくつもつくりだし、もっとも効果的なものに決める脳の能力を創造力と呼ぶ。現実性も生存価値もないシナリオをつくりつづけることを狂気という」

「遺伝子は後生則、すなわち文化獲得を活性化し方向づける、感覚知覚と精神発達の原則を規定する。文化は、規定遺伝子のどれが世代を超えて生き残り、増えていくかの決定に関与する。変化した新しい遺伝子は、集団の後生則を部分的に変化させる。 変化した後生則は、文化獲得の方向と有効性を変える」


むずいでしょ。「後生則」は、作者独自の用語かも。ア・ポステリオリ、獲得形質と近しい意味合いだと思うんだけど。よーく、もぐもぐしないと呑み込めない。

 

この本は佐倉統の『進化論という考えかた』(講談社現代新書)に取り上げられていて、知ることとなった。よく読み返す本で、諸説ある「進化論」を俯瞰するのには格好の一冊。

 

『進化論という考えかた』では、各パラグラフのイントロに村上春樹の一文が引かれている。改めて読むと、村上春樹ってフィリップ・マーロウにも強く影響されているんだなとか思ってしまう。


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