親の心 子知らず 子の心 親知らず
知らず知らず 悪くなっていた 親知らず 知らず
歯科大学病院で親知らず 抜いた 3月に1本 4月に1本 計2本
片っぽが父親なら もう片っぽは母親
親は知っているが 親はもういない
親のいない僕 親知らず2本ない
抜いた親知らず 歯科医師は持って帰りますかと訊ねる
抜けた下の歯は屋根の上へ放り 抜けた上の歯は縁の下へ投げると言われたっけ
抜かれた薄汚れた親知らず2本は上と下の歯
仮住まいの屋根に投げるのも、縁の下に埋めるのもなんだし 要りませんと告げる
乳歯は母親が糸を絡めて引っこ抜いていた
しかし、どうしても抜けない乳歯があった
近所の歯科医院で抜くことに
はじめて麻酔を歯ぐきに注射され、グリグリと鉗子(かんし)で抜かれた
痛みはないが、遠慮のないグリグリが気持ち悪かった
抜かれている間、ずっと、映画『マラソンマン』で
ダスティン・ホフマン扮する主人公が
ローレンス・オリヴィエ扮する歯科医(ナチスの残党)に
ドリルでウィーンウィーンと歯をえぐられる拷問シーンが頭をよぎっていた
ついでに、歯科衛生士に歯のクリーニングをしてもらっている
歯間ブラシの使い方が悪いと注意される
注意はどんどんエスカレートして生き方まで注意されると妄想する
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』では、
サドの歯科医が登場する
ジャック・ニコルソンとリメイク版ではスティーブ・マーティンがその役を演じている
甲乙つけがたい
仮住まいの家の屋根に投げたのと縁の下に埋めたのと2本の親知らず
なぜかそこから芽が出て1本は父親に もう1本は母親になったという夢を見た
痛くはないがなんか気味が悪いんでロキソニンを服用した