犯罪学者アラン・ツイスト博士シリーズの第一作目

 

 


『赤髯王の呪い』ポール・アルテ著 平岡敦訳を読む。

 

『赤髯王の呪い』

犯罪学者アラン・ツイスト博士シリーズの第一作目である『赤髯王の呪い』。
ナチス・ドイツに併合されたアルザス地方。ドイツ人の美少女エヴァに惹かれていたエチエンヌ以下の少年たち。エヴァは奔放で彼らを手玉に取っていた。伝説の殺人鬼・赤髯王ごっこをした呪いかエヴァは密室状態の小屋で眼を潰され殺されていた。
犯人は特定されず、お蔵入り。戦後、ロンドンで料理人をしていたエチエンヌに故郷の兄から手紙が。エヴァの幽霊を殺された小屋で見たと。
そして彼の元にもエヴァが現れる。卒倒した彼。優しく介抱してくれた看護婦フランシスに好感を抱く。つてを辿ってツイスト博士に全貌を打ち明ける。気分転換も兼ねてまたフランシスとの結婚を前提とした付きあいなどを報告しようと、久しぶりに帰省することとなったエチエンヌ。家族や友だちとの再会を期待していたら、父親が亡くなっていた。第一発見者となった彼。
またもや密室での死。ツイスト博士は一路アルザスへ。さあ、どうなる。ツイスト博士は密室トリックを打ち破り、真犯人を見つけることができるのか。
そしてエチエンヌはエヴァの亡霊に出会う。彼はエヴァの死に心の傷を負っていた。
エヴァファム・ファタルぶりやおどろおどろしい赤髭王伝説もたっぷり。意外にも後味も良くて、デビュー作とは思えない完成度。さすが「フランスのディクスン・カー」。
ちなみに当初探偵役は「ディクスン・カーの名探偵フェル博士」名義だったことを知る。これはクリアが厳しくて、その代案として犯罪学者アラン・ツイスト博士を誕生させて出版にこぎつけたそうな。結果オーライである。


あとは短篇が3作。

『死者は真夜中に踊る』
ツイスト博士は大荒れの天候の夜、車の故障に見舞われる。屋敷を見つけ、入れてもらう。屋敷の当主は宿泊をすすめる。厚意に甘える博士。鬱蒼とした樹木に覆われ、かび臭いその家では昔、毒殺事件が起きていた。博士も記憶していた。

 

ローレライの呼び声』
ライン川で伝説のローレライを目撃したというハンス。婚約パーティーの晩、ローレライに導かれたように池へ行き、溺死。雪面にある足跡は彼のもののみ。

 

『コニャック殺人事件』
ツイスト博士の相棒となるロンドン警視庁ハースト警部が休暇で渡仏。コニャックが特産の村へ。偶然、ツイスト博士も近所にバカンスしていた。ここで警察署長を務める警部の義弟が難事件に巻き込まれ困っていた。殺害予告された男を警察が警備していたが、毒殺されてしまった。


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