『輝く断片』シオドア・スタージョン著 大森 望他訳、読了。
8篇の短編が収録されているが、やはり、トリをつとめる表題作が図抜けていい。
大御所伊藤典夫の翻訳が、また、いい。
なら他の作品がつんまないか。そんなことはない。
ライトノベルのサイコホラー物で物足りない人には、一読をおすすめする。
読んでいてひりひりしてしまった。
リュック・ベッソンがプロデュースした映画『つめたく冷えた月』をご存知だろうか。
原作がブコウスキーの。といえば、テイストはわかるかもしれないが。
ネタバレはご法度なんで、あの映画が好きな人なら、『輝く断片』はマジヤバイと思う。ぼくはその映像が好きだったんだけど。白い大理石の石像のような女性の肢体(屍体)。夏の真夜中の海岸。ジミ・ヘンドリックスの音楽。
『輝く断片』をピグマリオニズム(人形愛)といってしまえば、ハイ、それまでよ、か。
愛しているのは、きみじゃなくて、きみの断片。
欲しいのは生きているきみじゃなくて、眠っているきみ。
完全な拘束はしないが、完全な解放もしない。
愛しているのは、人間のきみじゃなくて、人形のきみ。