「ミステリ―の女王」が書く「怪奇・幻想」短篇小説

 

 

寒暖差にやられて不調気味だった。
熱はないようだ。葛根湯をのんでひたすら眠る。

 

『死の猟犬』アガサ・クリスティー著 小倉多加志訳を読む。
アガサ・クリスティー短篇集、2冊目は「怪奇・幻想」がメイン。
「ミステリ―の女王」が書くホラー・ゴーストもの。

 

何編かピックアップ。

 

『死の猟犬』
ベルギーの小さな村に侵攻した来たドイツ兵。白衣の修道女がドイツ兵を爆死させたという。爆破の跡が壁にこびりついて、その形から農民たちは「死の猟犬」と呼んでいた。そのシスターに会えることになった「わたし」。彼女は念動力で「死の猟犬」を操っていた。ってなんかラブクラフト味のSFじゃん。


『赤信号』
第六感について議論する医師、精神科医や貴族たち。貴族の甥であるマーモットには未来を予知する不吉なシンボル「赤信号」が見える。いま、この場でも見えるのだが口外はしなかった。降霊会が行われ、その後に殺人事件が起こる。ラストが冴えている。

 

『第四の男』
弁護士でもあるジョージ卿、精神病の専門医・クラーク博士、聖職者キャノンが偶然夜行列車で出くわす。4人目の男は外国人風だった。それぞれの専門家が集まって「霊魂」の話となる。不可解な女性の自死事件を話しているとき、4人目の男が仲間に加わる。不可解な死を遂げた女性との因果関係や奇怪な人生を話し出す。

 

『ランプ』
定番の幽霊屋敷もの。ランカスター夫人は不動産屋の案内で古い屋敷を見に来る。確かに薄気味悪いが、彼女は気に入った。でも家賃が格安なので不動産屋を追及する。餓死した子どもの幽霊が出るという噂。リフォームして明るい内装になった屋敷。ところが。ゾクゾクする話のうまさ。

 

『ラジオ』
ハーター夫人は甥のチャールズにラジオを奨められる。「ハイカラな発明品」にはじめは抵抗があったが、いざ使ってみると好きな音楽が聴けてすっからとりこになった。ところがラジオから夫の声がする。霊界ラジオ。元祖電波系。お気に入りの相続人本命候補のチャールズにも何やら裏がある。

 

『アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件』
記憶を喪失したアーサー・カーマイクル卿。無口で背中を丸めてうずくまっている。ミルクはぴちゃぴちゃ舌ですくう。心理学者カーステアズは、猫が憑依しているのではと。洋の東西を問わず恐ろしい猫の祟り。

 

『最後の降霊会』
これもお約束の降霊会。降霊会をするフランス人家族。エクス夫人の子アメリが現れる。降霊会が始まるとともに読み手も恐ろしい世界に誘われる。

 

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