哀しい唄だけがブルースじゃない。私は私の唄を歌う

 

ブルースだってただの唄 (ちくま文庫)

ブルースだってただの唄 (ちくま文庫)

  • 作者:藤本 和子
  • 発売日: 2020/11/12
  • メディア: 文庫
 

 

『ブルースだってただの唄 黒人女性の仕事と生活』藤本和子著を読む。

『塩を食う女たち 聞書・北米の黒人女性』藤本和子著の続篇的本。

 

黒人であること、女性であること、
このダブルの差別に迷いながら、あるいは道を踏み外しながらも
きっちりと自分の生き方を見つけた女性たち。

二人だけピックアップ。

 

ジュリエット・マーティンの場合

 

刑務所の臨床心理士となったジュリエット。
彼女の両親は彼女により良い教育を受けさせたいと
仕事を増やして「名門のカトリック女子高」へ進学させる。
「最下層の生徒」だったという。最初入学した大学は退学。
「ウェイトレスの仕事をしながら」短大、大学を卒業し、大学院へ。
「心理学の博士号をもっている」彼女。
「高等教育を受けたが、教育に幻想を抱かない」

 

ウィルマ・ルシル・アンダーソンの場合

 

ウィルマが12歳のとき、母親が亡くなった。13歳のとき、父親は再婚。
彼女と妹は放逐される。彼女は「16歳で結婚した」。
「6人目の子が生まれたとき、夫は」愛人の女性といた。
家に生活費も入れない夫。まもなく彼女と愛人が諍いとなって殺してしまう。
裁判では終身刑が言い渡されるが、嘆願が認められ減刑。夫とは離婚した。
14年間刑務所暮し後、仮釈放となる。
「子どもたちは失った」。いまは彼女のような立場の女性の「助け」になりたいと
考えている。

 

黒人にとって自分たちの肌の色の違いが、そんなに気になるとは。
「色の黒い黒人」と「色の黒くない黒人」。

たとえば父親が黒人で母親が白人の場合、
見た目が白人の子どもが生まれることも。
兄弟・姉妹で肌の色が異なる場合も。

黒人たちは否応なしにも肌の色にこだわるが、
白人から見れば皆同じ、黒人。一括りで、黒人。

 

メーガン妃が「白人の父親、アフリカ系黒人の母親を持つミックスド・レース( 混血)」ゆえ生まれてくる子どもの肌の色が英国王室で話題になっていたそうだが。


彼女たちにはタフとかハードボイルドが似合う。
お涙頂戴のブルースなんてごめんだね。

ブルースだけが唄じゃない。私は私の唄を歌う。

 

soneakira.hatenablog.com

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