わたしと短歌、わたしたちと短歌

 

あの人と短歌

あの人と短歌

 

 

『あの人と短歌』穂村弘著を読む。

著者の短歌をはじめて読んだとき、新しいと思った。
なんつーかキャッチ―だった。

 

長年の習慣で夜、ラジオをつけたまま寝る。
日曜日の夜は民放のラジオ局が早じまいするので
NHKラジオ深夜便』を聞きながら眠る。
明け方『ほむほむのふむふむ』をやっている。
著者のやさしい声と軽妙な話を聞きながら、
短歌の見方や作り方を教わる。

 

座談の名手といってもいい著者の「対談集」。
作家、エッセイスト、歌人、詩人、俳人などがゲスト。
短歌をコアに自在に楽しく語り合っている。
その振れ幅の大きさも魅力だろう。

いくつか惹かれた部分を引用。

 

北村薫(作家)との対談」

「北村 つまり、「韻文がかっこいい」という感覚がなくなってしまった。寂しいですね」
「北村 韻文が持っている、文語の素晴らしさを再確認する機会が
必要なのでしょうね」

 

「三浦しおん(小説家)との対談」

「穂村 (短歌が)生な自己表現に近づいたために、添削すると「勝手に何してくれんの?」となってしまうわけです。そして、「俺的に違う」と言われてしまうと、こちらがいくら短歌としてより良い表現を提案しても、それ以上の説得は難しくなる」

 

朝吹真理子(小説家)との対話」

「穂村 見方によっては、時間は不可逆でもなんでもない。なぜなら脳内では、つまり想念の中では、時間なんて平気で進んだり戻ったりするものですからね。その自由さを取り込めれば、もっと面白い形式の短歌が生まれ得ると思っています」

 

「小澤實(俳人)との対話」

 

「小澤 俳句は短歌に比べると圧倒的に短いです。それで思念を詠むのは不可能です。ものを核に詠む形が中心になる。ものが読者の中で連想を広げる。それが紙型の個性になっていると思います」

「穂村 僕には、短歌は二次元的、俳句は三次元的に感じられるんです」

 


俵万智(歌人)との対話」

「俵 情報量が少なく、歌い手の言いたいことがストレートに伝わってくる歌は、読者が自身の中にある似たような体験とか記憶とか、その人の中に眠っているたくさんの情報を引き出すことができると思うんです。少なくとも自分の歌に関しては、そういうものが一つの理想としてあるんでしょうね」

 

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