実は、この実話、実は

 

 


『東西怪奇実話 世界怪奇実話集 屍衣の花嫁』平井呈一編訳を読む。

 

推理小説ファンが最後に犯罪実話に落ちつくように、怪奇小説愛好家も結局は、怪奇実話に落ちつくのが常道である。なぜなら、ここには、なまの恐怖と戦慄があるからだ」

 

なんて魅力的な内容紹介文だろう。と、「新版解説」で東雅夫が書いているが、まさにその通り。

 

怪奇小説だとストーリーにケチつけたくなるときもなくはない。
怪奇実話は実際こうだったんだから、そうなんだろうね。となぜか納得。
オチもいらないし。

 

まあ、しかし、面白い怪奇実話を名調子で訳すんだから、たまらない。

 

多いのは「幽霊屋敷」もの。古い家や古城やうらぶれた宿屋など。訳あり物件、事故物件。知らないで買ったり、借りたりして住む。旅先で泊まる。すると、出た。
知っていて物見遊山で住む。で、ひどい目にあう。最悪、命を落とす場合も。

 

この本に出て来る幽霊は個性的。キモイっちゃキモイが。
大概は陰キャだが、中には『女好きの幽霊』とかもいる。

 

人ばっかじゃなくてモノも化ける。物の怪。
『魔のテーブル』では、アンティークな「黒檀のテーブル」が、暴れまくる。
『屍衣の花嫁』では、「古い肖像画」が、主役。

 

その様子が日記などに記録されている。
それらを蒐集する怪奇実話ハンター。

 

怪奇実話が苗床となってホラー、伝奇、怪奇小説からSFまで芽吹いた。

 

信じるか信じないかはあなた次第」(by関暁夫)という名文句を引用して結びの言葉に。

 

soneakira.hatenablog.com

 

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