長丁場になりそう

 

 

猫が来た。すぐになじまないのは見込んでいたものの。
うなる、あばれる、パニパニパニック。
子猫ならまだしも2歳となれば、なおさら。
エアコン下の戸棚の上と戸棚の奥のすみっコぐらし。写メも撮れない状態。

 

『オリヴィエ・べカイユの死/呪われた家 ゾラ傑作短篇集』ゾラ著 國分俊宏訳を読む。随分昔、藤原書店からバルザック全集が新訳で出て、その第二弾がゾラだった。
バルザックはあらかた読んだが、ゾラはバルザックのように、はまらなかった。

ゾラは長篇型作家だと思っていたので、この本をみたとき、意外に思った。
で、読んでみると、「稀代のストーリーテラー」という惹句は、ほんとだった。
短いあらすじと感想を。

 

「オリヴィエ・ベカイユの死」
怪談でなくても土葬された人が棺から脱出するという話は聞いたことがある。
オリヴィエ・ベカイユもそう。心は死んでいないのに身体が死んでいる。
どう対処されるのか。身内や隣人の本音などが聞こえてくる。ああ、ぼくのことを
そう思っていたのか。愛する妻ははや同じ下宿屋のギャバン夫人の紹介で金持ちの男との再婚の話が進んでいる。甦ったオリヴィエ・ベカイユ。生ける屍となって新しい人生を歩む。

 

「ナンタス」
ナンタスはパリで一旗あげようとマルセイユからやって来た。文無しのナンタス。ダンヴィリエ男爵の召し使い部屋の屋根裏に住む。職探しをするが決まらない。手持ちもなくなり前途を悲観、自殺を考える。ダンヴィリエ男爵家の家政婦シュアンが結婚話を持ってくる。男爵令嬢フラヴィがご懐妊、ところが相手がわからない。令嬢の夫になってくれないかという依頼。偽装結婚契約結婚、愛のない結婚をする。然るべき地位についたナンタスは才能を開花させる。ついに財務大臣となる。しかし、つれないフラヴィ。あくまでも契約結婚だと。愛はないと。ナンタスはフラヴィを本気で愛していた。
心を開かないフラヴィ。絶望したナンタスは自殺を決意する。そこへあらわれたフラヴィ。

 

「呪われた家―アンジェリーヌ」
「幽霊屋敷」と噂され一向に買い手のつかない屋敷。「私」は「宿屋のおかみ」に謂れをたずねる。以前の持ち主は妻が亡くなり再婚した。一人娘アンジェリーヌと継母の関係がよくなく、継母に殺され、父親が「地下貯蔵庫の下に埋葬」したと。それからアンジェリーヌの霊が出ると。別な人からはもっと悲しい話を聞かされる。しばらくして「私」がその屋敷に行くと、屋敷は画家に購入され改修されていた。使用人に案内されて中に入る。闇の地下室からアンジェリーヌの声がする。それは…。

 

「シャーブル氏の貝」
医者から子どもができるのには貝が効くと「小さなビーチに」出かけたシャーブル夫妻。夫45歳、夫人エステル22歳。夫人の若さと美貌に吸い寄せられた若者エクトール。海で開放的になったエクトールはエステルに迫る。口説こうとするのを気が付かないのか、ふりをしているのかシャーブル。三角関係の妙。貝の効き目が如実にあらわれたようで。

 

「スルディス夫人」
名作を書いた著名な作家の男。実は、妻がゴーストライターだったという話は古今東西、割にある話。「公立中学の自習監督を務めていた」スルディス。絵を描くのが趣味らしく町の画材屋の常連だった。店番をしていた娘アデル。お世辞にも美人とはいいがたい。水彩画を描く彼女はスルディスに絵を見たいと懇願する。ハンサムではにかみ屋の彼は拒んでいたが、お披露目となる。その絵は独特で素晴らしく、アデルは彼の才能を認める。アデルの父親が亡くなる。彼女は遺産でスルディスの画家人生を支えると。一緒にパリに行こう。ま、一種のプロポーズ。パリに出て彼は画壇の寵児となる。
アデルはマネージャー兼プロデューサー兼黒子の画家となってサポートする。成功した彼は堕落する。創作意欲も薄れる。絵のサインはスルディスだが、彼女の代作が続く。そばにいて彼の技法などを習得したアデル。妻に才能の方を評価する夫。

 

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