アオハル(青春)、フットサル、まあリア充

 

ヘディングはおもに頭で

ヘディングはおもに頭で

  • 作者:西崎 憲
  • 発売日: 2020/10/01
  • メディア: 単行本
 

 

『ヘディングはおもに頭で』西崎憲著を読む。


松永おんは二浪中。実家を離れておじさんのアパートで一人暮らし。
弁当屋のアルバイトをしながら受験勉強。息抜きはフットサル。
あまりうまくはないようだが、ともかく続ける。

 

フットサルを誘った友人ジブから読書会にも誘われる。
1回目の課題図書がヘミングウェイの『移動祝祭日』、
次がおんの好きなブローティガン、その次が小沼丹

 

読書会で知り合った年上の女性・太田さんに誘われて飲みに行く。
おんは太田さんの思わせぶりに期待するが結果は空振り。

 

バイト先の弁当屋はおばさん帝国。黒一点のおんは
パワハラまがいのことをされる。
余談だが、パートのおばさんはなんであんなに他人(ひと)に厳しいのだろう。

 

フットサルスクールでも彼より上手な女性から無視される。
それでもスクールには通う。ゲームにも出られるようになった。

 

高校時代写真部に所属していたおん。
1学年下の写真部員に広川あかるいがいた。
余談。金井憧れというアナウンサーもいるし、驚きはしない。
彼女が「写真雑誌」にセルフヌードを「投稿」、学校に知られ問題となった。
彼女は卒業後、イギリスの大学に留学する。

 

宙ぶらりんでもあまり気にしないおん。
母親の具合が良くないことを妹のラインで知らされる。
結局、大学受験を断念する。それもなんとなく。

 

彼の地元は北千住。「日光街道の宿場街」としての古い顔と
「複数の大学と大型ショッピングセンターがある」新しい顔を併せ持った街。
なんとなく郷土愛もある。街の描写も丁寧。


大学へは行かない。なら、どうする。それよりフットサルの大会だ。
フットサルは上達したようだ。

彼女はいないが、友だちはいる。アオハル(青春)、フットサル、まあリア充

 

庄司薫の『薫クン』シリーズやサリンジャーの『ライ麦畑のキャッチャー』にも
通じるものがある。松永おんは、令和の薫クン、令和のホールデン・コールフィールドか。

 

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