つぶやきしろー

 

ぼそぼそ声のフェミニズム

ぼそぼそ声のフェミニズム

  • 作者:栗田 隆子
  • 出版社/メーカー: 作品社
  • 発売日: 2019/05/30
  • メディア: 単行本
 

 『ぼそぼそ声のフェミニズム栗田隆子著を読む。

 
最近のフェミニズムってなんだか学生運動セクトのように、
またはプロレス団体のように細分化していないか。
お笑い第七世代が話題だが、フェミニズムは第何世代なのだろう。
 
シモーヌ・ヴェイユを研究」し、大学院まで進む。
いざ社会に出てみると、思うような職が得られず、
結果的に非正規、高学歴ワーキングプアとなってしまう。
「就活・婚活、非正規雇用、貧困」など
作者自身が日々の暮らしの中で感じたことが率直に書かれている。
 

「気がつけば、キャリアもなければ、女性としての魅力にも乏しく、母になることも遠く、「半人前」という事実を三十路にして突きつけられた」

 

「女性のフリーター」である私って一体何者と考える。
 

「結婚すればどうにかなる」

 結婚あがり願望は根強いが、どうにかならないことも多々あるのが現実。


田嶋陽子先生も「男手放しても職手放すな」と言っているし。

toyokeizai.net


「シューカツの面接は、いわばオーディションみたいに見える」

 

確かにそうだ。目立とうとして各自いろんなことをする。
ぼくは、苦手だった。
 

「日本のシューカツは新卒というイメージ」
「女は処女でなければ許さない、みたいな価値観」

 

 
言い得て妙。
さらに「キャリア」にも疑問を投げかける。
履歴書などに他人より優位な点を多く記入できれば就職、転職に優位になるように思える。でも、特に転職の場合は、新しい会社ではこれまでの自慢の、自信のキャリアを
リセットできるくらいでなければ通用しないと思う。
 
で、ノンキャリアの場合、つまり「誰にでもできる仕事」は、なぜ安いのか。ここが問題。

「単純労働でどうして食べていけないのかが私にとっては一大テーマだ」

 

正規雇用者、非正規雇用者が2020年から同一賃金になるらしい。
少しは改正されるのだろうか。
 
「「自立」は怖い言葉」だと作者は言う。
「「ホームレス自立支援法」「障害者自立支援法」「生活困窮者自立支援法」等々」

 その裏には政府、国、自治体からの「強迫的な」意味合いを感じると。

 

「「義務」を全うしない人間に対して「なぜ自立しないのか?」と脅迫の言葉として「自立」は利用される」

 

「最低限の家と医療が提供される生活。これを真剣に実現させようとすれば、同時にそのような「生」を支えるための「税収」や「労働」を考えざるをえなくなる。生存運動と労働運動のあるべき結びつき、さらにフェミニズムが絡むとすれば、1人の女で子どもがいなくても、パートナーがいなくても、どんな生き方をしても意味延びられるあり方をこそ考えるべきだし、私は考えたい」

 作者が言うように「生活保護」という名称は変えるべきだろう。

 
ねじまき鳥クロニクル村上春樹著の一文、

「良いニュースというのは多くの場合小さな声で語られるのです」

 を なぜか思い出す。

ぼそぼそ声だと相手も聞き耳を立ててくれるので
意外といいかもしれない。