伝説をぶっ壊せ-1

 

マルコムX(上):伝説を超えた生涯

マルコムX(上):伝説を超えた生涯

 

 

 

マルコムX(下):伝説を超えた生涯

マルコムX(下):伝説を超えた生涯

 

 


シティポップで躁(アゲ)状態、ローファイ・ヒップホップで鬱(サゲ)状態。
 
マルコムX(上)(下) 伝説を超えた生涯』マニング・マラブル著 秋元 由紀訳を
やっと読んだ。
 
マルコムX」というとマーティン・ルーサー・キング牧師と
対極に位置する黒人差別撤廃を訴えた運動家。
ブラックパワーのルーツ的な人。
スパイク・リー監督が映画にしたぐらいのことは知っていた。
いわば揺らぎなき伝説の人である。

なのに著者は定着したイメージではなく
もう一度一次資料から「マルコムX」の人生を再構築する。
伝記は結構いいところだけ美化されがち。
自伝でもヤバいところやマズいところは隠蔽、歪曲化されることも。
 
例えば野口英世
貧しい農家から世界的な医師になって志半ばで黄熱病で逝去。
地元の英雄として生家である野口記念館は
福島県の小学生のバス旅行の定番コースとなっていた。
いまは知らないが、たぶんそうだろう。
ところが、金にだらしなく大酒のみ。放蕩でエキセントリックな面もあった。
 
話を戻そう。
ぼくはアメリカの黒人(アフリカ系アメリカ人)はほとんどが
キリスト教徒だと思っていた。
ところが、マルコムXムスリム(イスラーム教徒)だった。
イスラームというと中近東だと思うが、
アフリカ・アジア圏にも多数いることを知る。
 
「8世紀にはイスラームはアフリカ北部を支配し、―略―14世紀から16世紀にかけてはいくつかの強大なイスラーム帝国が西アフリカを支配した」
 
「16世紀にアメリカ大陸やカリブ海諸島を植民地化していたヨーロッパ諸国は最終的に約1500万人の奴隷をそれぞれの植民地に運んだが、そこにはムスリムも一定割合含まれており、アメリカ合衆国となる地に強制的に運ばれた約65万人のうち7~8%がムスリムだった」

 

上巻では生い立ちが書かれている。
アフリカ系アメリカ人がいかに不当な扱いを受けていたかを改めて知る。
牧師だった父親は黒人差別主義者に暴行を受け亡くなる。
生きるために盗みを繰り返す。
獄中でイスラーム教に改宗する。
まともな教育を受けていなかった彼は、
獄中でイスラーム教以外にさまざまな知識を読書から得る。
手を差し伸べたのはNOIネーション・オブ・イスラム) 。
やがて彼はNOIでも人気の高い導師となる。

参考:

www.cnn.co.jp

 
 
―続く―