予備校生時代も長雨だった。
下着も靴下も洗ったものがなくなる寸前、
近所のコインランドリーに駆け込んだ。
『「待つ」ということ』鷲田清一著を読む。
「『「聴く」ことの力』の続篇」だそうで。
これはデプスインタビューや傾聴などが
業界内でブームになる前に書かれた本。
未読の人はぜひご一読を。
携帯電話の出現が「待つ」行為をなくした。
さて便利、合理的で片づけてしまっていいのか。
「待たなくてよい社会、待つことができない社会」。
その功罪を考える。
かつてはデートでも待ち合わせ場所、時間に相手が来るかどうか、
やきもきした。
自宅に電話してもいるわけないし。いたこともあったけど。
待つことは受け身で無駄なことなのだろうか。
作者は否定する。
「「育児」といういとなみ」も待つことだと述べている。
大人になって親元を離れる日までただ待つのみ。
それが、なかなか待てない。
Webサイトでも画面が重たいと
すぐ別なサイトへ行ってしまう。
作者は「河瀬直美監督の『沙羅双樹』の父親の」会話を引用する。
「忘れてええことと、忘れたらあかんことと、ほいから忘れなあかんこと」
人生の処し方の名言だと思う。
老いと待つことの論考。
「年をとると記憶は一枚の絵に近づく」
「英国の作家、E.M.フォスターの晩年の言葉」だそう。
どういうことかというと、老いると
「あらゆる時が一枚の絵のように、遠近の奥行きもなく同じ平面に
点在しているような事態である。―略―<時>は流れていない。<時>は過去という不在から現在へ、現在から未来へというふうに、それら不在と現在をつないでゆきながら持続するものとしては現象していない。だからそこからは<待つ>が消失してしまう」
誰もが通る道。
『「聴く」ことの力』同様カバー写真が植田正治。
内容と見事にマッチングしている。
YouTubeであみんの『待つわ』を聴く。
書きますた
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