しつこく

 

怪獣-岡本綺堂読物集七 (中公文庫)

怪獣-岡本綺堂読物集七 (中公文庫)

 

 


しつこく『怪獣 岡本綺堂読物集7』岡本綺堂著を読む。

 

次は「江戸情緒あふれる探偵物『半七捕物帳』」に手をのばすのか。
確かに作者の描く江戸時代や江戸の町は居心地が良さそうで、
なんか新しい江戸を見せてくれる。
ま、単にぼくが時代小説を読んでいないことに過ぎないかもしれないが。
『半七捕物帳』は、コナン・ドイルの作品世界を江戸時代に翻案したとか。
お手並み拝見といきたい。

 

大正時代は怪談や心霊写真などオカルトブームだった。
おそらく柳田國男の『遠野物語』にも作者は影響を受けたと思う。
で、千葉俊二の解題を読むと、当時最先端だったフロイト精神分析理論が
輸入されてきて、そのあたりもうまく作品に咀嚼されているようだ。

 

『怪獣 岡本綺堂読物集7』は、とりわけ耽美度が高い。

 

お気に入りの3作品を短い感想で。

 

『怪獣』
むろんゴジラなどが出て来るわけはない。
怪獣は人の心に巣食う邪心などで
それに操られるように予期せぬ行動に出る。
姉妹と顔見知りになった、腕の良い若い大工。
リビドーが 沸点になって迫る。
親方にばれ、クビとなる。
彼は恨みの人形を置いて去る。
やがて不思議な現象が続く。


『恨(うらみ)の 蠑螺(さざえ)』
若い頃、なし崩しに裸の絵を描かれた女性。
恨み晴らさでおくべきと
絵を描かせた商家の一族に復讐する話。
いわばレイプ被害への怨念や憎悪がすさまじく
関連した者が次々と死んでいく。
女子の復讐劇。


『眼科病院の話』
フロイトいうところの転移性恋愛。
患者が医師に治療してもらっているうちに
患者が医師に恋愛感情を持つようになる。
この話もそう。
しかも同時期に二人の女性から。モテ期の眼科医。
かたや「男爵令嬢」、かたや芸者。
さて恋の顛末は。ハッピーエンドがほっとさせる。

 

人気blogランキング