『ナイン・ストーリーズ』再読

 

ナイン・ストーリーズ (ヴィレッジブックス)

ナイン・ストーリーズ (ヴィレッジブックス)

 

 

上田岳弘の『ニムロッド』 の関連本として
ナイン・ストーリーズサリンジャー著 柴田元幸訳を読んだ。

 

最初は十代に『バナナ魚日和』沼沢洽治訳で読んだ。と、思う。
表紙が和田誠のイラストレーションの本。
『バナナフィッシュ』が描かれていた。

 

で、柴田元幸の新訳。

覚えていたところは、わずか。
全体に流れているどうしようもなく厭世的な気分。
文学は鬱の産物なのかと再認識した。

 

『バナナフィッシュ日和』
けったいなバナナフィッシュの生態。
ラストが衝撃的だが、いまなら内に籠るのではなくて
誰かを巻き添えにして最期を迎えるのかなと思った。

 

笑い男
弱小少年野球チームの大学生のコーチは、
おんぼろバスを運転しながら『笑い男』の話を聞かせる。
突如現れたコーチのガールフレンド。
フラッパー(お転婆)ぶりで少年たちをかく乱する。
ウディ・アレンの短編映画って感じ。
このパロディで『泣き男』というのを思いついたが、
未完成。

 

『ド・ドーミエ=スミスの青の時代』
パリ育ちのアメリカ人が主人公。
通信制美術学校」の講師の職を得る。
校長夫婦の自宅に下宿をする。
彼らは日本人。
生徒の尼僧に好意を持つが。
生徒と校長夫婦のカルチャー ギャップを
ユーモラスに描いている。

 

新訳のせいではないと思うが、
古びていない。というよりも新しい。
現前にある文学。

 

ライ麦畑でつかまえて』を果敢にも英語で読もうとしたが、
とてもとても難しくてあえなく頓挫した。

 

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