くだらないの中に

 

人間界の諸相

人間界の諸相

 

 

『人間界の諸相』木下古栗著を読んだ。

 

いままでの作品より短い話の連作スタイル。
ゆえにエロ・グロ・ナンセンスの古栗ワールドが
ぎゅっと濃縮されている。

 

一応、主人公は「菱野時江」。
看護師でボクシングとコスプレと自撮りヌードが趣味。
写真の個展のタイトルがくだらなさの極み。
かつてカメラマンのアラーキーが自称ケゾリーニ(パゾリーニのもじり)と
言っていたと覚えているが、それに匹敵するくらい。
やめよう、こんなこと書いても面白さや狂気具合は伝わらない。

 

他にも露出狂の有名出版社の編集者。
酒風呂ならぬ缶チューハイ風呂に入ってサンバホイッスルを吹きながら踊る精神科医
ブラジル娘のダンサー二人を従えてサンバに興じる。
やめよう、こんなこと書いても面白さや狂気具合は伝わらない。

 

ストーリー漫画で描くギャグ漫画。とでも言えばいいのか。

男も女も外見は端正で上品で教養がないといけない。
それが内見とのおそるべき落差につながる。
読者は読むのを停止するか、停まらなくなるか、
二極分化する。

 

誰だろ。いまは漫画を描かなくなったけど山上たつひこ
練馬変態クラブなんてぴったりだけど。
ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦もいいけど。

 

『活字市場』は「菱野時江」が市場へ行く。
さまざまな文字が並んでいる市場で
「卑猥語屋」に入る。
エロ動画のタイトルってすごすぎて
笑っちゃうのが多いけど。そんな感じ。
「卑猥語屋」で買ったぴちぴち新鮮な卑猥な文字を食す。
性欲と食欲はつながっているという。
やめよう、こんなこと書いても面白さや狂気具合は伝わらない。

 

令和の初日にふさわしい内容ではないかもしれないが。

 

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