『言葉人形』にしてやろうか

 

 

花粉症→鼻をかむ→強くかみ過ぎる→鼻血の悪循環。

 

『言葉人形』ジェフリー・フォード著 谷垣暁美編訳を読む。


編訳者による「短篇傑作選」。
「編訳者あとがき」を読むと、
作品は発表順に降順。
「現実的なものから幻想的なものへとグラデーションをなす配列」
になっているそうだ。

 

13の短篇。幻想小説とカテゴライズできるが、
バリエーションに富んでいる。
目のつけどころと発想量が、すごい。
どれが良いかは、まあ個人の好みで分かれるだろう。
お気に入りを3篇あげるなら、こんな感じ。

 

『ファンタジー作家の助手』
タイトル通り、求人広告でファンタジー作家の助手になった女性。
仕事は作品に破たんや矛盾がないかをチェックする仕事。
校閲にちょっと似ている。
ある日、白いワニ状態(by江口寿史)になった作家。
未完の作品の展開や結末のアイデアを依頼される。
すると作家のそばには小説のキャラたちが現われる。
自分たちの役割や扱いに不満があるのか、
作品に厳しい指摘を。
小説のキャラたちが作家を出し抜いてストーリーを改変したら。
小説のキャラたちが他の作家へのトレードを申し出たら。
ふくらむ妄想。


『私の分身は私の分身ではありません』
なぜかみな自分の分身がいて、分身は独立して働いている。
住まいも別だ。見た目はコピーだからそっくりだが、
性格は違うようだ。
一卵性双生児で生まれたが、異なる環境で育つと性格が異なるように。
なぜか分身にも分身が存在する。
分身は分身の分身が気に入らない。
本人に相談する。
近親憎悪。ややこしや。それが妙。

 

『言葉人形』
作家である私がふと気がついた「言葉人形博物館」。
うらぶれた佇まい。老婆が館長。
そもそも「言葉人形」は「野良仕事」にこき使われる子どもたちの息抜き。
愛玩用に開発されたもの。
なんだけど、人形職人や言葉人形の描写が
フェティッシュ、不気味な人形愛にあふれている。
その一体がもたらした惨劇。
チャッキー人形かよ。
でなきゃ、黒いドラえもん

 

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