みなまで言うな

夜のリフレーン

夜のリフレーン

 

やっとまとまったので
原稿と修正原稿を送る。

『夜のリフレーン』皆川博子著 日下三蔵編を読む。
「単行本未収録短篇」を編者が編んだもの。
小説現代」「小説新潮」「オール読物」などの中間小説誌が初出。
父親が購読していて
いないときに梶山季之川上宗薫などを盗み読みしていた。
短篇読み切りが多い中で
作者は味わいの異なる怖い作品を発表していた。

冒頭の『夜のリフレーン』が圧巻。
マザーグースを思わせるような文体で
男女の愛憎の世界を描いている。
これでホラー映画、撮ってください。

長編型の作家と思われる作者にとって
短篇は手ごわい相手だったようだ。
もっとも短編も長編も素材は同じだと思う。
内奥する世界も。
限られた枚数で書きたいことを過分なく書く。
どうする。
みなまで言うな、だ。
省略、寸止め。
見事なフェイドアウト
音数の少ないタイトなジャズギターのように。
余韻が残る。時には疑問も。
書きたい世界を固形スープの素としたら、
それをそのまま読者が齧っても食えたものではない。

テーマは人形愛、エキゾチシズム、祭礼、三角関係、フェティシズムペドフィリアなど。
昔の方が熱い恋愛をしていたと思うが、
最近はSNSなどでよりねじれた、こじれた、もつれた恋愛になったのかも。
片思いは恋愛じゃいないか。
片思いとストーキングは表裏一体だしな。

人気blogランキング