リバーシブル

両方になる (新潮クレスト・ブックス)

両方になる (新潮クレスト・ブックス)

 

ユニクロ大感謝祭でヒートテック上下などを買う。
ヒートテックとダンナは新しいほどいい。
てな戯言を思いつく。

『両方になる 』アリ・スミス著 木原善彦訳を読む。
『あおくんときいろちゃん』レオ・レオニ著のような話かと思ったら違った。

「21世紀のイギリスの少女」と「15世紀イタリアの画家」が出会うメタフィクション
「21世紀のイギリスの少女」編も1だし、
「15世紀イタリアの画家」編も1。
リバーシブル仕立て。その対比が素晴らしく。
最初は頭から読んでもいいけれど、
再読するときは逆から読むと見えてくるものが違う。
2つの話をつなげて登場人物を越境させる試みは
面白く成功だったと言える。
もっともこのようなスタイルの作品は漫画にもくさるほどあるが。

「15世紀イタリアの画家」編が特にいいなと思った。
写真が登場する以前、肖像画家は人気商売だった。
特に実物よりもきれいに描く肖像画家はご婦人方からモテモテだったはず。
そんなエピソードも出て来る。
絵の具、マテリアルにマル秘の成分を配合して
独特の色合いなどを出す。
魔女の秘薬のような。
そのあたりも詳しく取り上げられていて惹かれた。
テレビの美術番組で藤田嗣二が 面相筆を使い、
絵の具に石灰や漆喰を混ぜてあの美白な透明感を出していたことを知ったけど。

ポップなテイスト。小説巧者。
訳者はできるだけ丁寧に訳したり、註をつけている。
『両方になる 』ことはトランスすること。
トランスジェンダー、トランスフォームそしてトランスボーダー。
テルマエ・ロマエ』が好きな人なら、ぜひぜひ。

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