欣喜雀躍

飛ぶ孔雀

飛ぶ孔雀


予想外の雨。
音声データ起こしをする。
通称テープ起こし。テープじゃないのに。
靴を入れているのに下駄箱と呼ぶが如し、か。
思ったより早く終わる。


『飛ぶ孔雀』山尾悠子著を読む。
義兄の会社の軽井沢のロッジに行ったとき、
ごく間近で孔雀を見た。
最初剥製かと思った。
でも警戒からか眼が動いていた。
派手なグラムロッカー。

小説には、すぐにその世界に入れるものとそうでないものがある。
小説だけではないが。
この本は前者で脳内の妄想メモリーがぱんぱんになるほど。
容量不足を気にしながら読んだ。ウソ。
舞台は路面電車が走っている地方都市。
モダンな欧州の匂いのする都市。
かつては栄えていたが、今はさびれた都市。
中国人などが押しかける前の小樽や函館といった。
錆びや石のひび割れ、石畳の欠けがいい按配。

石切り場、
岩風呂が自慢のホテル、
動物の肉をこそいで白い骨を蒐集している頭骨ラボ、
頭骨ラボの近くでは白キノコの栽培が盛ん…。
そのモノが語る、もしくは騙る、モノがたり。
それを豊饒と思うか過剰と思うかで
読み手は分岐する。
作者のイメージの断片が埋められてつくられた世界。
テント小屋で上演される小劇団の芝居を思わせる。
登場人物の一人である女性運転士。
なぜかフェリーニの映画に出て来る巨乳、巨尻の女性と
重なってしまう。

TV番組『ブラタモリ』が都市や景観を
地質学などからアプローチして
その成り立ちを解明するが、どことなく似ている。

この小説が日本語で書かれたことを喜びたい。
まどろっこしい書き方だが。
今年読んだ小説ではピカイチかも。

清原啓子の挿画がぴったりで。
ぼくは知らなかった。
夭折の銅版画家。
作者と同年代。
リンクは貼らないよ。
ネットで検索したまえ。

森見登美彦の『夜行』で描かれている闇と
同質、同系色かとも思う。

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