- 作者: 小沼丹
- 出版社/メーカー: 幻戯書房
- 発売日: 2018/07/31
- メディア: 単行本
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台風が来るとワクワクする。
そんな十代の気持ちを映画にした相米慎信の『台風クラブ』。
フワクをとうに越えたぼくはフワクワク。
近所の土嚢姉妹は土嚢を出すでせうか。
『不思議なシマ氏』小沼丹著を読む。
一般的な作者の作品のイメージは
小津映画のようなものなのだが。
『不思議なシマ氏』は言うなればユーモアのあるフィルムノワール。
酒場で出会った謎の紳士・シマ氏。
その正体は。
『剽盗と横笛』はピカレスクロマン。
英国モダン風味がいかにも作者らしい。
『カラカサ異聞』は伝奇小説。
『初太郎漂流譚』はノンフィクション。
この版元から出た未刊作品集は
とりわけファンにはありがたいもの。
大島一彦の解説によれば
「面白い話」に燃えていた時代の作品だそうで、
ジャンルは異なるが、
面白さで括れる。
ここまで器用な作家だったとは意外。
娯楽作家で書き飛ばすこともできたと思うが、
結果は知る人ぞ知るユーモア私小説作家になってしまった。
大学教授もしていたので
書きたいものだけ書くというスタイルだったのだろうか。
興味を覚えた方は拙レビューを。