ほかほかさせるぜ

くわえ煙草とカレーライス

くわえ煙草とカレーライス


何を着ていいかわからない季節。


『くわえ煙草とカレーライス』片岡義男著を読む。
半年に一度くらい作者の作品が読みたくなる。
気持がブルー気味のときが多い。
このところ奇抜なタイトルの作品が多いが、
この本もそう。
奇抜と言うと誤解されるか。なら、キャッチ―だ。

ちょっと前までは私鉄沿線の各駅そばに
個性的な店があった。
茶店、ラーメン店、酒場など。
チェーン店ではなくて
個人事業で切り盛りしていた。

シャッター通りではない商店街。
そこにある店が舞台になっている。
店で出会ったり、思わぬ再会をしたり。
平凡な人間ドラマが展開される。
平凡だから退屈か。
さに非ず。
若者得意の共感できるシマ宇宙か。
タコツボじゃなくて、普遍的な部分で、
それぞれ自分の人生を無理しないで生きている。
幸福、不幸、金持ち、貧乏は別にして。

古い時代の話もあるが、今の時代と思われる話もある。
しかし、インタ―ネットやスマートフォンは出てこない。
高層ビルも出てこない。
万年筆、ボールペン、原稿用紙、ノ-トブック。
男性はどことなくグチグチしているところもあるが、
女性は職業こそ異なるが、いずれもキリっとしていてカッコいい。
それこそ黄金期の日本映画の美しい女優のように。

ポイントごとでカレーライスが出てくる。
食べたくなったが、つくるには時間がかかる。
戸棚を漁ったら賞味期限切れのレトルトの辛口カレーが出てきた。
それで済ます。
ほかほかしてきたのは、
小説か、レトルトカレーか。
答、両方。

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