戦争を消費して平和は成り立つ

ビリー・リンの永遠の一日 (新潮クレスト・ブックス)

ビリー・リンの永遠の一日 (新潮クレスト・ブックス)


時間のない仕事を受ける。
最初、断ろうと思ったんだけど、
書くスピードがどれくらいか確認したくて。
はは、もう、ストレートはダメで
カットボール勝負の松坂並みで。
というのは松坂投手に失礼だな。

『ビリー・リンの永遠の一日』ベン・ファウンテン著を読む。
主人公イラク戦争で運よく生き残った、というか
まだ生き残っている19歳の兵士。
彼らはアメリカンフットボールのハーフタイムショーに
時代のヒーローとして呼ばれる。
戦意高揚、国威発揚の広告塔として一時帰国。
すぐに再び生き地獄行き。

うろ覚えだが、兵隊を志願する若者は
大学進学のための学費を稼ぐ派と
行き場がなくてなった派に分かれるそうな。
主人公は後者。
しかし戦地で自分の生き方に光を当てるようなパイセンと出会う。

ビヨンセ率いるデスティニーチャイルドと同じスポットを浴びる。
スタジアムの歓声。
国を守る兵士たちに一方的なシンパシーを抱く
ブルジョア階級の愛国紳士・淑女。
金持ち、手を汚さない。まさん、そう。
華やかなハーフタイムショーのシーンと
戦地のシーンが交互に出てくる。
読んでいてスタジアムのにぎやかさと音楽が浮かぶが、
肝心の戦場は無音といっていい。そんなことはないのだが。

19歳の兵士に映るもの。感じるもの。
命をはっていることの虚しさ。
人なのに犬死するおそれ。
アメリカンフットボールも戦略が重んじられる。
フィールドは戦場だ。それは比喩。
彼らは本物の戦場で死と接近している。
最近の戦争はゲームのようだが、サバイバルゲームではない。
撃つのはbb弾ではなくて実弾だし。

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