信用しない 発見する

かくて行動経済学は生まれり

かくて行動経済学は生まれり

 

『かくて行動経済学は生まれり』マイケル・ルイス著を読んだ。
心理学から経済学をとらえた新しい学問、
行動経済学がどのように学問として成り立っていったか。
二人の真逆な天才、ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキー。
出会いからお互いの道を歩むようになった経緯。
エイモスの惜しまれる病死。
最後はカーネマンがノーベル経済学賞の知らせを受けるところで終わる。

各章のタイトルが行動経済学の考え方を端的に伝えている。
「専門家はなぜ判断を誤るのか」
「直感は間違える」
「脳は記憶にだまされる」
「説明のしかたで選択は変わる」
などなど。

ダニエル・カーネマンは信用しない」
「エイモス・トヴェルスキーは発見する」
だから徹底的に実験をする。
そこから人間が決してロジカルに動かないことを知る。
ヒューリスティック、バイアス。
最終的に既存の経済学に風穴を開ける。
二人でネタをつくる漫才師か漫画家のように
理論を構築した。
賞賛と批判が高まる中、
エイモスが脚光を浴びる。
二人で考えたのにと面白くないカーネマン。
このあたりの人間くささを描いているのも良い。

建国間もないイスラエルのことも知ることができる。
戦後、突如、できた国。
周囲は敵とはいわないが、味方ではない。あ、敵か。
第二次世界大戦で凄惨な体験をした若者は国を守るために
入隊する。二人も。
そこでは心理学もPTSDの研究よりも
勇敢に戦う兵士に改造するためのものとして研究されたようだ。

記憶する自己は独裁者 - うたかたの日々@はてな


この本を読んでから読むといいい。

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