鈍器カルテット

ドラゴン・ヴォランの部屋 (レ・ファニュ傑作選) (創元推理文庫)

ドラゴン・ヴォランの部屋 (レ・ファニュ傑作選) (創元推理文庫)


TVドラマはめったに見ないのだが、
TBSの『カルテット』は、
もっぱらTBSオンデマンドで見ている。
主役4人が、みな、うさん臭くて、
台詞が多くて、その大半が嚙み合わない…。
昔、はまったデヴィッド・リンチの『ツイン・ピークス』や
コーエン兄弟の映画のワンシーンをなぜか思い出したり。
似てないのだが。

映画館で見てもテレビドラマのような映画があるし、
テレビで見ていても映画のようなテレビドラマがある。
『カルテット』は、後者。

『ドラゴン・ヴォランの部屋』J.S.レ・ファニュ著を読む。
平井呈一以来の「半世紀ぶりの」アンソロジーだとか。
『ドラゴン・ヴォランの部屋』がメインなのだが、
これはミステリーとしてなかなかの出来栄え。
今読んでもすっげえ楽しい。

ひょんなことから遺産相続かなにかで小金持ちになったイギリスの若者。
貴族の子弟を真似て、グランドツアーでおのぼりさん感覚でパリ探訪。
美貌の伯爵夫人と恋に落ちる途中の仮面舞踏会のトリックは、
謎解きに疎いぼくもひょっとしてと思ったが、
最後の謎明かしには、なるほどと。
各場面がきちんと書かれていて、
オペラとか舞台とかでもいい感じ。
『ドラゴン・ヴォランの部屋』には、何か出るそうだが。

短編では『ローラ・シルヴァー・ベル』がイチオシ。
これは恋は盲目的話。

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