覗く人

 

 

ヒカリエ(ヒキリエを思い出すが)ファサード前に
大きなモミの木が立てられていた。
これだけでも、いい眺めだ。
まもなく厚化粧が施される。
ハロウィンが終わると、クリスマスか。

午後、恵比寿へ。
関係者各位、ありがとうございました。
恵比寿ガーデンヒルズは、クリスマスツリーが
飾られていた。
不似合いな好天気。

『冬の夜ひとりの旅人が』イタロ・カルヴィーノ著を読む。
小説好きに評価の高い著者。
何冊か読んだが、企み、小説技巧派とか、
そんなつまらない印象しか出てこない。

この本、あらら、昔、はまったヌーヴォー・ロマンのよう。
でも、刺激的。退屈しない。
昨今、目にしなくなったかっこいいボディコピーのよう。
作者が「男性読者」と「女性読者」に「あなた」と語りかける。
「あなた」に語りかけると言うと、
ビュトールの『心変わり』と倉橋由美子の『暗い旅』。
似てる似てないでもめたらしいが。
どちらもグーでした。

本を読むことは、作者の中身を覗き見することでもあるんだけど、
この作品は視点が逆。
作家から、本から、読者を覗いている。
次々と広がる未完の物語。
わかりづらいかも。
なら、本に仕込んだ隠しカメラから撮るアングル。
盗撮読者、悩殺読者。
各断章が、最後につながるあたりは、
お後がよろしいようで。

蛇足。
日本人作家と思われる作品も出てくる。
なかなかオリエンタルでエロチックで、
昔、父親が読んでいた小説現代川上宗薫のポルノ小説、
それを盗み読みしたことを思い出した。
そうか、宗薫センセイの文体は、翻訳調だったのか。
観察ノートのようだと言ったのは、誰だっけ。失念。

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