やっと


やっと晴れた。
日差しがこんなにありがたいとは。

ご恵投いただいた『生きた自然を探求する』小林道憲著を読む。
全十巻で刊行される著者の全集「生命(いのち)の哲学コレクション 1」。
素朴な疑問。「生きた自然」とわざわざ表現されているのは、なぜだろう。
作者は生物学や物理学から今日的な哲学を模索する。
哲学という領域で哲学のことを見つめ直しても、
ブレイクスルー、脱構築アウフヘーベンすることはできないからだろう。
パラダイム転換」もか。

ロボティクスでロボットのことを考えると、
そこから人間の仕組みなどで新たな視点が開けたのと同様に。
機械の人間化と人間の機械化。
ただ人間は機械ではないから、
能率や効率など一辺倒ではいかない。
機械とて金属疲労だの、不具合だのを起こすが。

マジ読んでいて従来の哲学書とは一線を画す。
読みにくいわけではない。むしろ、逆。
唯物論・唯心論、心脳問題、心身二元論、進化論など
気になる言葉を捌いていく。

サステナビリティという言葉がある。
「持続可能性」とか訳され、企業の社会・環境報告書や
アニュアルレポートでは、トップページあたりに
水戸黄門の印籠みたいに載っているけど。
この本を読むと、生命こそおおもとのサステナビリティじゃんと思った。
「種の保存」であり、「産めよ、殖やせよ」でもある。

一であり多、全体であり部分。

「万物の相互連関性こそ、宇宙の本質である」

 

 

このあたりに来ると、どこか宗教を思わせる。

作者の構築する哲学って
「生哲学」だと思うんだけど、
これだと誤解される。
「いきいき哲学」ってのも、陳腐だし。
ロマン主義的自然哲学の復権」と作者は述べているが。
らしきものを引用してみる。 
 

「宇宙は、絶えざる生成であり、絶えざる変化であり、
それは、物質としての自己を表現し、さらに、生命として
自己を表現し、精神として自己を表現する。物質と精神を共に
内包しているこの地上の生命体は、活動してやまない根源的宇宙の
象徴なのである」

 

 

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