- 作者: J.M.クッツェー,くぼたのぞみ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/04/17
- メディア: 文庫
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いつものところから新規の仕事が入ってくる。
助かる。
『マイケル・K』J.M.クッツェー著を読む。
内乱で世情不安の南アフリカ。
病の母親に転地療養させようと改良手押し車(ネコ車?)で
移動する。
二人旅が一人旅になる。
ロードムービー感覚。
捕まったり、危険な目に遭ったりしながら
なんとか生き延びる。
農場、キャンプ、軍、病院。
ページから砂埃があがりそうな風景を記す乾いた文体。
国破れて山河あり。ではないが、
マイケルは国や人を信じていないが、大地は信じている。
国や人は裏切るが、自然は裏切らない。
とか言う甘ちゃんじゃないが。
心の荒廃よか大地の荒廃を止める方が、
元公園の庭師だったマイケルは、得意らしい。
誰の助けも受けずに、媚びないで、
這いつくばって生きる。
光の差し込む方向に成長を続ける植物みたいに。
真っ向勝負を挑んだ地味だけど滋味な純文学。
バーナード・マラマッドの『 アシスタント』あたりが
好きなあなたに、ぜひ。
このエントリーのタイトルは、ル・クレジオの小説の
タイトルを頂戴した。