ご腸内のみなさまへ

失われてゆく、我々の内なる細菌

失われてゆく、我々の内なる細菌


かつて都市博中止を公約に
まさかの都知事になった青島幸男のように
東京オリンピック中止を公約に誰か立候補しないだろうか。
横浜市長の林文子さんみたいに
仕事のできる女性でもいいのだが。

『失われてゆく、我々の内なる細菌』マーティン・J・ブレイザー著を読む。
抗生物質の発見」による光と影を描いたもの。
いまでもおじいちゃんの町医者だと風邪薬といっしょに抗生剤をくれるかもしれない。
抗生物質の恩恵を受けてきたが、
ところが抗生物質は、人の体内にいる「100兆個もの常在細菌」で
悪い菌、善い菌、分け隔てなくやっつけてしまう。
それがどんな影響を及ぼしてきたのか。話は進む。
耐性菌という厄介なバイキンマンは、
抗生剤の進化とともに、進化していくし。

家畜にも積極的に抗生物質を投与されてきたそうな。
てっきり、病気予防策かなんかだと思っていたら、
成長促進、早く大きくさせて、肉をいっぱいつければ、儲かる。
食物連鎖ということでは、
人は抗生剤漬けの肉などを食べているわけで。
戦後の栄養状態の向上により、
体格が向上したといわれているが、そういうことなのかと。

いまやすっかりヒール(悪役)となったピロリ菌。
実は、人間とは長い付き合いの菌だそうで、
作者は、ピロリ菌を擁護している。

「年をとれば、ピロリ菌は胃がん胃潰瘍のリスクを上昇させる。
一方で、それは胃食道逆流症を抑制し、結果として食道がんの発症を予防する」


これも知らなんだ。

ライアル・ワトソン博士は、アフリカへ調査・研究に
行くときは、体内にわざわざ寄生虫を入れて
病気に備えているのを読んだことがある。
それと似た感じで「糞便移植」を紹介している。
「ある人から別の人へ、便を計画的に移植する」もので、
「とくに再発性クロストリジウム・ディフィシル感染には
有効である」

人間は多くの動植物を絶滅させてきた。
人体内の細菌もそうだと。
失われた細菌を求めて。
そこから、新たな医学の地平が広がるかもしれない。
作者はそう力説している。

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