- 作者: 作者未詳,蜂飼耳
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/09/09
- メディア: 文庫
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企画のネタを考え中。
『虫めづる姫君 堤中納言物語』作者未詳 蜂飼耳訳を読む。
通しで読むのははじめて。
現代語訳がチャーミングな上に、懇切丁寧な解説つき。
短い話の面白さは、話の構成や展開が古びていないからなのだろう。
にしてもだ。働かなくていい、生活のことは従者に任せろという
元祖高等遊民たる貴族は、キリング・タイム(暇つぶし)のために、
異性不純交遊や同性不純交遊や異性純粋交遊に励んだり、
和歌など芸事を嗜んだり。
無為徒食の階層がなかりせばすべての芸術は振興しまかったわけで。
『虫めづる姫君』は、ジブリファンならずとも、
ナウシカのルーツだと言えなくもないし。
訳者は「あたしは虫が好き」とタイトルをつけている。
虫好きの女児、
手のひらにダンゴ虫をのっけて丸まるさまを喜んだり、
ツマグロヨコバイをバナナ虫といってつまんだり。
そんな子も大きくなるにつれて女性性という枠を気にしだして
つまらないつーか、普通の女の子になっていく。
『虫めづる姫君』の最後が「二の巻にあるべし」となっているが、
それはない。シャレみたいなものか。
二の巻を、訳者にぜひ書いてもらいたいなと思う。
自然と科学に興味を覚えた姫君は
大学院から某化学研究所に入って体のどんな部位にも生成可能な
新しい細胞の培養に成功して時の人となる。しかし…。
これじゃパロディか。