- 作者: 中井英夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/04/15
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『虚無への供物』(上)(下)中井英夫著を読んだ。
そうだが。
ぼくは、その2冊とも頓挫してしまったので、
『虚無への供物』は、読み通せるかと思ったが、
意外や意外、すいすい読めてしまった。
「反推理小説」だそうで、
殺人事件が連鎖して起きるのだが、その推理の合間の当時の世相や
五色不動と五色の薔薇の関連性、
シャンソンなどその耽美ぶり、ディレッタントぶりが絢爛かつてんこ盛り。
楽しくて。
ハードボイルドだとモノローグ、自身への語りが
延々と続くが、
この作品では、どの人物たちもよく喋る。
真面目な社会派ミステリーファンは、推理性の弱さを指摘するかもしれないが、
極言すれば、それはどうでもよろしい。
作者の織り成す絢爛な世界に浸りきればいいのだ。
小林信彦だと思うが、東京人は、間取りにこだわるそうで、
この小説も間取り、部屋のインテリアなど細かく描写している。
ま、密室殺人なぞは、そうしないと伝わらないし。
唐突だけど、殊能将之の作品にもつながるものを感じた。
と、思うのはぼくだけだろうか。