地味は滋味

ストーナー

ストーナー

読書好きの間で評判の高い(未確認情報)
ストーナージョン・ウィリアムズ著を読む。
貧しい家に生まれた主人公が父親のあと押しで大学へ進学する。
学ぶことに喜びを感じ、水を得た魚の如く才能を開花させ、
大学院へ進み、やがて母校の助教授となる。
と、ストーリーを紹介してもしょうがないか。

不器用なまでに地道に、頑固に生きる男、
ウィリアム・ストーナー
結婚して娘が生まれる。
エキセントリックな妻。
象牙の塔と云われる大学。その教員関係。
学閥、ヒエラルキー
出世のための陰謀、駆け引き、根回し。
自分の研究と講義に情熱を燃やしていた彼とて、
無関係ではいられず。
結局、無名の助教授のまま退職する。
ま、途中、艶っぽい話もあるのだが、これとて、地味。

ここまで地味なのに、なぜか、惹かれて行く。
物静かな筆致だからなのかも。翻訳のなせる業。
インテリだから、ここまで内向的なのか。
農場で生まれ育ったから、忍耐心があるのか。
でも、キレる。激しくキレる。
人の数だけ自分史がある。
誰でも自分の歴史を書けば、小説は一冊は書ける。
地味といったが、深い所で人生を考えさせてくれる滋味豊かな作品。
ええ話や。お土産、お土産(by西条凡児)。といったところ。

母校で教授をしている同級生がいる。
某君からのメールによると、この春から文学部長になるらしい。

キカイな人々|soneakira|note

 

人気ブログランキング