『言葉にできない』もの

バッハマン/ツェラン往復書簡 心の時

バッハマン/ツェラン往復書簡 心の時

後藤健二さん殺害。
「話せばわかる」と言っていた内閣総理大臣犬養毅
「問答無用!」と銃撃した海軍青年将校らとかぶる。
5.15事件。

『バッハマン/ツェラン往復書簡』を読んだ。
インゲボルグ・バッハマンとパウル・ツェラン
出自が真逆の二人が、恋に堕ちた。
興味がある人は、ネット検索で。
詩人で恋人同士。遠距離恋愛ゆえ手紙で胸の内を伝える。
手紙を盗み読みしている気分。
青春とかいうやつのまぶしさ、切なさが
村上春樹の『ノルウェイの森』を初読した時のような。
やがて、地理的な距離よりも、心の距離の方が遠くなる。

手紙に綴る思い。メールなら瞬時に届くが、速すぎないかい。
いつ返事が来るのか。どんなことが書いてあるのか。
そのじれったさ、時間が妄想を膨らませる。
小田和正じゃないが、『言葉にできない』もの。
それを言葉で伝えるのは、不可解、不条理、不可能、ナンセンス。
ヤマアラシのジレンマかも。
詩は、その悪投苦戦から生まれたもの、あるいは排泄されたもの。

後藤健二さん殺害も、言葉の虚しさを感じる。
ディスコミュニケーション。現実の重たさ。

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