娘と私と(妻と妻)

『娘と私』獅子文六著、読了。
最寄駅のベンチに座って最後の部分を読んだ。
ふーと幸せなため息をつく。
生前は人気ベストセラー作家だったゆえ、
『娘と私』もNHK朝の連ドラ1作目などテレビドラマ化、
映画化されたそうだ。
画像は映画化されたもの。
ツタヤにあるかしらん。

作者の家族史。
演劇では食べていかれず、
小説や雑文で妻子を養っていこうとする。
フランス人妻の病気、フランスへ帰り、やがて亡くなる。
幼い娘を抱えて、見合いで後添えを決める。
やがて小説家として成功する。
乗り気ではなかった『海軍』が評判となる。
ぎくしゃくした遠慮がちな関係が、
さまざまなことを通じて家族になる。
だから、この小説は正しくは
「娘と私と(妻と妻)」になる。
結局、作者は生涯3人の妻を持ったことになるけど。

第二次世界大戦、空襲、東京脱出。
敗戦後は、妻の生家のある四国で暮らす。
当時の稿料や文壇事情、
とりわけ住まいの変遷が、ぼくには面白かった。
娘の成長、自身の老い、病気。
時折、生な言葉が書かれている。
生と言うか普遍的なことか。
だから、古びていないのだろう。

日仏ハーフの娘役、ぼくなら、宮沢りえだな。
男の子と取っ組み合いをしたり、
ぶっきらぼうな口をきいたり。
現在の彼女と少女時代の彼女、
これはなんとか映像技術を駆使して。

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