ピースを埋める

満蒙 日露中の「最前線」 (講談社選書メチエ)

満蒙 日露中の「最前線」 (講談社選書メチエ)

本や新聞、雑誌、テレビなどで
気づきを与えられることを
目からウロコなどという。
同じ意味で、知のジグソーパズルの
ピースを埋めるという言い回しは如何でせうか。

『満蒙』麻田雅文著を読んだ印象が、まさに、それ。
「日露中の「最前線」」とは、鉄道のこと。
ロジスティクスとして、満蒙の生命線でもあった。
いかに速く、大量に。
シベリア鉄道は知ってはいたが、
戦前、日本から船ではなく、陸路で渡欧するのに使われていたとか。
飛行機嫌いの北朝鮮の先代将軍様お召し列車で行ったとか。

「この地域で影響力を維持するために必要な装置として、
ロシア帝国ソ連も中東鉄道にこだわった。鉄道は単に貨物や
乗客を運ぶだけではない。シベリア鉄道と接続した沿線は
ロシアの経済的な影響下に置かれ、必要ならば短期間で軍隊を
現地に大量輸送することもできる。鉄道というインフラを押さえる
ことで、大連やハルビンのように大都市を築き、その沿線を
自在に設計することも可能である。
そのため、中東鉄道は沿線のロシア化(植民地化)を
促した行政機関でもあった」

中東鉄道と満鉄の成り立ち、変遷、
その裏にあった利権の奪い合い、腹の探り合い。
どこまで正しく先を読むか。
将棋なら盤上のことゆえ、名人なら読めようが、
政治や戦争は、気まぐれ。
神のみぞ知る。

伊藤博文が親露派とは知らなんだ。
ハルビンで暗殺されていなかったら、歴史は変わったかもしれない。
素朴な感想。

日露でやりあっているときでも、
アメリカのすきあらば満蒙浸出には、阻止していたという。

 

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