翻訳、お試しかっ!

翻訳問答 日本語と英語行ったり来たり

翻訳問答 日本語と英語行ったり来たり

資料を待ちの日。
大学の同窓会会報に載せる800字のエッセイを送稿する。
だらだら書いていたら字数を大幅にオーバーしていた。
削ったら、削りすぎてしまった。

『翻訳問答』片岡義男鴻巣友季子共著を読む。
翻訳ってなんだ。という話と、
実際に二人がお試しで7つの名著の冒頭を訳してみるという、形式。
片岡は英語のネイティブかつ作家の視点から。
鴻巣はいまどきの翻訳家の視点から。
同じ英文でも、訳されたものは微妙に違う。
その違いが、めっぽう面白い。
ま、最後は好みなのだが。
両者それぞれに訳しやすい作家とそうでない作家がいて。

翻訳ものって苦手な人が多いのは、訳のせいかも。
いまはかなりましになったと思うが、
日本語になってない、つーか、自動翻訳みたいな文章が、
上下巻2段組みで続く。読書が修行、苦行のようだったが。

ただわかりやすければいいのかというと、そうでもなくて。
原文のニュアンスや世界をどううまく日本語化すると伝わるのか。
逐語訳、直訳と意訳の間でのさじ加減みたいだ。

鴻巣 原作を、欠けるところのない球体だとすると、
それにどちらから光を当てるかが翻訳の作業です。
どこから光を当てても影が出来る。光源が大きければ
影の部分は小さくなるけれど、それでもやはり影は出来てしまう」


外国映画でも、字幕版で見た方が、いいとぼくは思う。
俳優の声とかわかるし。
吹き替え版だと、見ていて楽だけど。
あ、声優の悪口ではござんせん。

「片岡 チャンドラーの比喩表現は、いま読むとまったく必要を
感じないですね」

そうなんだ。レイモンド・チャンドラー訳は、田中小実昌のが
好きなんだけど。確かに田中の小説の文体とイコールだ。

「片岡 僕の小説の文体は、ある時期、翻訳調、翻訳文体
などと評されました。それはそれで、僕としては悪い気分では
ないのですが」



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