- 作者: 猪飼周平
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2010/04/09
- メディア: 単行本
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猪飼周平の著作『病院の世紀の理論』を読んだ。
フーコーの提唱する系譜学的アプローチかと思ったら、
日本の病院史的側面からアプローチしている。
裏付けとなる豊富な統計は、すっ飛ばして、短く感想を。
ニーチェのアフォリズムを借りれば
「病院は死んだ」ということ。正しくは従来の病院は死んだか。
「重要なことは、日本において「社会的入院」問題を解決するとは、
所有原理型医療システムを解消するということであり、それは病院の
世紀を終わらせることを意味しているということである」
高齢化社会、金食い虫の医療費。それを抑制するために、
病気に対して国は、治療から予防へ軸足を変えた。
「今日の医療改革において誤解されていると思われる点が一つある。
それは「社会的入院」を解消することで、健康システムが全体として
安価になると考えられている点である」
「「社会的入院」を解消する」ことは、在宅医療なのか。
昔返り。団塊老人は十分に元気はつらつだと思うが。
「現代人はすでに病気で死ななくなってきているとはいえ、今なお多くの
疾病はわれわれにとって致命的なままである。-略-治療医学の世界は
いつまでたっても無限である」
『さらさらさん』大野更紗著で医師と患者の圧倒的な非対称を訴えている。
患者を見ずに症例を診ている。
「だが、その一方で、病院の世紀の終焉は、このような病気の克服が、
医療の中心目標とはならない時代の幕開けを告げている。
病院の世紀の終焉後において有力なモデルは、包括ケアモデルである」
「包括ケアモデル」か。儲かりそうとなると企業がタカってくるが、
どうだろう。
そも消費税は、福祉税だったのだから、そこから。
幼少児にも手厚く。
「医学的知識は、治療以外にも、疾病予防、介護予防、環境衛生改善、
リハビリテーション、在宅療養支援、ターミナル支援などさまざまな
部面において利用されることになる。その意味において、サービスは
多様化していくことになる」
介護福祉士の待遇を看護師並みに改善するとか。
そういうことも含めて。胃瘻(いろう)とかも。
完治ではなく、寛解。完治は有り得ないのでは。
完治に越したことはないが。
「問題は、この領域のサービスを担当するのは誰かということである」
まあ確かに総合病院ともなれば、
患者は半日待ってわずかな受診だし。
医者から言わせれば、飯を食う暇もないと。
医師の絶対優位な立場からじゃなくて、
歩み寄る、ホスタピリティ、お・も・て・な・しが根底に必要だろう。
それは、「患者様」とか口先で言うことじゃない。
参考記事