さすがに

未明の闘争

未明の闘争

さすがに寒い。とりわけ古い日本家屋は。
暖房をけちらないで、企業漫画の脚本のまとめに入る。

『未明の闘争』保坂和志著を読んだ。
小説のレビューで最もポピュラーというか書きやすいのは
ストーリーの紹介だろう。
それを見て読もうかどうか判断する。
ところがだ、この小説は、ストーリーがあるようでない。
身辺スケッチや猫とか、これまで読んだことがある人なら、
そう思って読めばいい。それでも戸惑うかもしれない。
あえて小説のテンプレートから逸脱させて書いている。
そうゴダールの映画が、引用から成り立っているように、
この小説もさまざまな引用からできている。
通常の小説は原材料が渾然一体化しているが、
この小説は、一体化させていない。
夫婦、家族、同級生、幼なじみ、会社の同僚、上司という関係性から
読んでもいいし、経年変化していく夫婦、
代々暮らしていたペットの思い出の記、歴史物語として読んでもいい。
いろんな土地に移り住んだ漂泊の話として読んでもいい。
あるいは、会社の女子社員としけこむ不倫旅行ものとも読めるし。
だから、終わりはないし、完結もない。しようがない。
まずは読んでしまって、
次に、好きなところだけを読んでも十分に楽しめる。

作者が勤務していた池袋にあるびっくりガードの描写は、個人的に懐かしい。
印刷会社がそこにあり、年末、カタログの色校正で深夜まで出張校正を
しに行っていた。
池袋コミュニティカレッジも一講座だけ半年間通った。
実家から高速バスで帰ると、ちょうど、このあたりを通る。
あ、「人間もどき」は、「忍者部隊月光」と出て来るが、正しくは「マグマ大使」。
瑣末なことだけど。

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