ラジオの時間

録音しておいた『林美雄 空白の3分16秒』を聴く。
金曜パックの2部は、音楽や映画など最先端のサブカル情報を発信していた。
ユーミンもムーンライダーズ石川セリもこの番組で知った。
日活ロマンポルノやATGなどの映画も、林がリコメンドしたものを、
予備校帰りに、機会があれば池袋文芸坐などへ見に行っていた。
そう、タモリの4か国マージャンをはじめて聞いたのも、この番組だった。
広告会社に勤めていた頃、つきあいのあった田家秀樹さんの
出版記念パーティで、ナマ林美雄を目撃した。
短いスピーチながら、肉声は美声だった。
そのときはもうアナウンサーじゃなくてプロデューサーだったかもしれない。
苦労多かるローカルニュースなどお笑いコーナーも好きだった。

深夜放送は若者の解放区だとかいわれていたが、
学生運動も下火になり、シラケ世代の出現など、
林もこの番組で若者が「ライトになった」と発言している。
そしてみんな軽くなった(byトム・ウルフ)、か。
ただこの「林美雄パックインミュージック」の最終回は、1980年だから、
不正確な表現かも。
テクノポップニューアカデミズム、カフェバー、新人類の頃か。

たまたま、土居まさるの『セイ!ヤング』の最終回を聴いたことがある。
Wikipediaによると、1973年9月だ。
土居は熱く絶叫した。リスナーに向けて「バカ野郎」と。
ぼくはドン引きした。
林の態度は、真逆だったようだ。
状況は異なるが、劇画の波を受けて変容としていた少年漫画に対して
執筆を拒否、筆を折った寺田ヒロオあたりにも似たものを感じる。
ヴィトゲンシュタインの 「語りえぬものについては沈黙しなければならない」という
一文を思い出した。
1時間番組にきっちりまとめ上げた宮沢章夫の力量を改めて知る。


林美雄 空白の3分16秒

放送日 2013年12月27日(金) 午後7:00~8:00


出演:宮沢章夫(劇作家・演出家・作家)

1980年9月30日。数多くのアーティストを発掘し、日本のサブカルチャーの目利きとしてリスナーの信頼を集めた「林美雄パックインミュージック」が最終回を迎えた。そのエンディングで林アナウンサーは、テーマ曲にのせて挨拶を始めたが、途中で自ら音声を絞り、そのまま3分16秒の間、テーマ曲だけが放送された。テーマ曲が終わりかけたころ、再び林アナウンサーの声が流れ、「音としては(放送に)のっていませんでしたが、いろんな事をいま言いました・・・だから、勘弁してくださいね。」の言葉で番組は締めくくられた・・・。この3分16秒、林アナウンサーは何を語ったのか?何を伝えたかったのか?林アナウンサーが58歳の若さでこの世を去って11年。作家・宮沢章夫が関係者の証言から、林美雄という人物に迫るドキュメント。」


しかし、ここ数年、ラジオをよく聴くようになった。
YouTubeにアップされているものなどを含めて。
林美雄 空白の3分16秒』もあった。

人気ブログランキング