ニューヨ−ク・入浴

昨夜、帰ってきて風呂に入る。久しぶり。
暑いときは、シャワーばっかりだったが。


『私小説』水村美苗著、読了。
作者のアメリカ・ニューヨーク時代の思い出、
ノスタルジック・ニューヨークを記した文学的要素と
異文化や言語などに関する思索が重層的に構築されていて、
特に後者が、のちの作者の作品に繋がるんだなと
後だしジャンケン的にわかる。

こんなところ。

「ユダヤ人の同性愛者でなければ小説が書けないと
言われていた時代ですらもう過去のものとなり、
今やユダヤ人よりさらに白人から遠い人たちでなければ
小説を書けないと言われている時代に突入しているのに、
と彼女は言った」


はは。国書刊行会の本かいな。

「日本語の世界も英語の世界もよく知っている彼は、
言葉が人間を創ってしまうのを知っていた―というより、
言葉そのものが世界を創ってしまうのを知っていた。
翻訳者として名高い彼は言語の翻訳可能性を容易に否定するような
ところにはいなかった。
翻訳の可能性の限界を地道に掘り起こし進んでいるからこそ、
言語の本質にある、他の言語に還元できない固有性を悲しんでいるに違いない」


でも、作為的にじゃなくて即興的になのだろう。
読んでいて、どことなくフリージャズを感じさせるもの。


朝イチで原稿を戻す。


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