住宅は道具

輝く都市 (SD選書 33)

輝く都市 (SD選書 33)


生命の劇場 (講談社学術文庫)

生命の劇場 (講談社学術文庫)



『Casa BRUTUS 新装版 柳宗理』で柳が戦争でフィリピンに行ったとき、
『輝く都市』ル・コルビュジエ著の原書を背嚢に入れていたが、
最後は、重たくてジャングルに埋めたという美しい逸話が掲載されている。
図書館の保存庫にあったので、読んでみる。

「生物学の用語は、建築や都市計画にも立派にあてはまる。
生物学とは、生きた建築、生きた都市計画の諸性質を扱うものに
他ならない。−略−生命は内から外へと発現し、光を目指し、
空間に身をまかせて開く。建築や都市計画もこの同じ法則、
内から外へと発現し、自分の周囲にあるものを厳しく裁断する
法則にしたがって展開する」

構造ではなく秩序と置き換えるとユクスキュルにも通じるものがある。

「私たちの友人の動物学者が「構造なくして秩序なし」
と主張したのに対して、私は「秩序なくして構造なし」と主張します。
自然の秩序がはじめて構造を、
またこの構造のもとで力学的形成物をも創り出します。
そして、こうした力学的形成物を介して、有機体における物理エネルギーの
発現は秩序あるものになるのです」

『生命の劇場』ユクスキュルより

「道具類は、人間の肢体の延長であり、甚だ有用なものである。
このような解釈は、人間の優秀な頭脳が生み出し、そしてやはり人を
助ける役目を背負わされているあるいくつかの生産物にも適用することが
できる。例えば、住宅も道具の一種であり、道路、仕事場等々…も
同様である」

有名な「住宅は道具」とは、こういう意味だったのか。

それ以外にも名言の宝石箱や〜(by彦摩呂)。


懐かしのSD選書の一冊。勤めていたデザイン事務所にも
何冊かあった。
黒い本。というと、現代思潮社も黒い本が多かった。
関係ないけど、白い本というと、みすず書房の本。
艶々とした白い装丁は、西洋の貴婦人のよう。

フィリピンのジャングルに埋められた『輝く都市』は、
どうなったんだろう。


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