おもかげ

胎児の世界―人類の生命記憶 (中公新書 (691))

胎児の世界―人類の生命記憶 (中公新書 (691))

どうやら3年続いた副業が6月いっぱいで満了となるようだ。
暑くなる前に抜けられるのは、うれしいが、家計的には…。
時給ももらえて、ダイエットにも成功した。
本業が、その分回復すればいいんだけど。
昨日か、友人からオーディオのコンペの仕事を相談されたが、
残念ながらオーディオマニアではない。


『胎児の世界 人類の生命世界』三木成夫著。
著者の名前は、確か茂木健一郎のブログで知って
気にはなっていた。
向井周太郎の本にも出てきて、こりゃ読まないと。
と読んでみた。

「胎児の顔貌にただようもの―それはまぎれもない動物のおもかげであった。
あの軟骨類のおもかげが、アッという間に爬虫類のそれに変わり、
やがてそれが哺乳類に向かっていく。ニワトリの発生で見た
“まぼろしの上陸劇”そのものであった」

ケン・ラッセルの『アルタード・ステーツ』で
カプセル容器内で人の進化を体感する映像があったけど、
そんなイメージ。

「たとえば母親のおもかげは、瞼の裏に貼りついて、一生剥がしとることは
できない」

文字通り「瞼の母」。

「こうして、いつとはなしに肌身にしみ込んだその顔を、
人びとは「おもかげ」とよぶ。古くは「まぼろし」といったが、
今日では「イメージ」のことばが使われ、形態学の世界では
「根源の形象」、略して「原形」とよばれる。
わたしたちはこうした原形を、身近の者から、しだいに遠くの者へ、
深浅さまざまに瞼に焼き付けながら、それぞれ間違いなく識別していく。
それは知覚の基盤をなすものでなければならない

福岡ハカセや瀬名秀明にもつながる世界だと思う。
詩的な文体。宗教書のような一文も。


本家のブログ「うたかたの日々」が、いよいよダメらしい。
書き飛ばしていたアーカイブス、過去ログから
長めのものを、こちらに再アップするつもり。


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