オノ経(ケイ)

成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか (岩波新書)

成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか (岩波新書)

だらだらと本業や副業。
で、もってだらだらとジャンルの異なる本を併読。
確か小林信彦だと思うが、
人文系のお硬い本のほうが、小説よりも読みやすいと。
ぼくもその説に賛成の票を投じる。


『成熟社会の経済学』小野善康著を読む。
小野経済学とか、オノ経とかいうネーミングがつくのも時間の問題。
それくらいオンリーワン。
尤も経済書は時折読むくらいの浅学ゆえ鵜呑みは禁物だぜ!
とりあえず引用と感想などを。

イノベーションには2種類あるそうな。

「「プロセス・イノベーション」と「プロダクト・イノベーション」」

前者は

「精算や物流の効果を図るイノベーション」

後者は

「おもしろい物、これまでにない機能を加える製品を作る」。

「成熟社会」では後者が「必要」だと。
ただ一朝一夕にはできない。
ソニーやシャープ以下日本の製造業の現状を見ているとよくわかるだろう。
生まれてこその生みの苦しみで、
生まれなければ、膿の苦しみで。
作者は「遊び心こそが重要」とさらっと述べている。

未曾有の「成熟社会の長期不況」に対しての作者の見解。

「不況が苦しいのは、お金がなくなったからでも潜在的な生産能力が
下がったわけでもなく、需要が減って人びとが働く機会を失い、
実際に使われる物やサービスの量が減ったからです。そのため、
余った労働力に働く機会を与えて世の中の役に立ってもらえば、
それだけ生活が豊かになるのです」

目からウロコだ。

「成熟社会の危機」を乗り越える一つのアイデアとして作者は、
こう提案している。

「お金を使おうとしない高齢者には、物やサービスを渡し、
働きたいしお金も使いたい現役世代には、仕事とお金が回るように
すればいいのです。それは高齢者に物やサービスの現物給付をすれば
実現できます」

馬の鼻先にニンジン作戦。お年寄りの財布のヒモを公的にゆるめる。
すると、その「物やサービスの代金は現役世代の所得や収入」になって
結果「経済も拡大」すると。
またまた目からウロコだ。


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