バタオさん

妻の超然

妻の超然


バタバタでバテバテ気味。
風邪をひく暇もない。蟻の這い出る隙もない(『うららか』by大瀧詠一)。


『妻の超然』絲山秋子著を移動時間に読む。3つの短篇(中篇?)からなる。
久しぶりだが、いちだんと凄味を増している。
もし病気にならなかったら、きっと会社でエライさんになっていただろと
勝手に推測する。で、「うまいなあ」「このネタはどっからめっけるんだろ」と
ジェラシーめらめらで読み進む。


「妻の超然」

夫婦の倦怠期の話。岡田利規なら淡々とスケッチしていくのだが、
作者は。チェーホフばりに毒を盛ってサービスして展開していく。
子どもがいないと夫婦生活は退屈だからといって
子どもを産んだ人を知っている。
うちとて、子どもがいなかったら、別れていたかもしれない。
でも「子はかすがい」には、ならないのでわからない。


「下戸の超然」

ありきたりに書けば草食系男子と肉食女子との出会いと別れってことか。
下戸の理系社会人男子と、ほどほどにいける社会人女子。
同じ会社でようやく出会えた話の合う彼女なのに
煮え切らない態度-九州男子なのに-のまま。
リアリティ抜群。


「作家の超然」

これは私小説だろう。しかし、絲山流私小説。
ここまで自分を「おまえ」扱いして冷徹に小説の対象にできるとは。
なんか理系の眼や正岡子規の写生とかを想像してしまう。
引用。

「患者という細胞を取り込んでは吐き出す病室は、
それらの細胞ひとつひとつの都合を関知しないが、
細胞であるおまえたちは、病室という乗りものに
乗って移動している」

アフォリスムとしても素晴らしい。



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結構笑えて、意外と深いです。
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