逝きし世の面影

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)


「ビンボー暇なし」で本業がなかなか進まない。
ページ構成まで考えるのだから、大変ちゃ大変。楽しいっちゃ楽しい。
電車や地下鉄、高速バスの移動時間で本は読めたが、読めるが
感想メモまでまとめられない。で、なんとか、まとめてみた。


『逝きし世の面影』渡辺京二著を読む。
幕末・明治初期に日本を訪れた外国人の著作から
当時の日本や日本人をさぐるというスタイル。
どっかで覚えがあるスタイル。そうだ、小熊英二のスタイルか。
大森貝塚を発見したモース博士、ベルツ水や温泉の効能に着目したベルツ博士、
日本を探検したイザベラ・バードなどなど
有名・無名の異人が書いた膨大な書物から情報を選んでリミックスする。


明治時代の日本の映像を見ると、なんだか別な人種のように思える。
あるいは東南アジアなどの後進国と呼ばれる国へ行ったときに
感じるような気持ちになる。
同じようなものを当時の欧米の外国人は日本人に対して抱いていた。
これはわかる。
しかし、よく見ると、ステロタイプの日本、ジャポニスムではなくて、
自分たちの文化・文明とはまったく異なるものがある。
以下ランダムに。

○当時の江戸は何百もの庭園があり、西洋の都市の成り方とは違っていた。
目につくのは江戸城ぐらいで、木々の緑や草花に埋もれた都市。
ソメイヨシノの発祥の地・染井村から駒込一体は
巨大なガーデニングセンターだっとか。
NHKの『ブラタモリ』のCG映像を思い浮かべる。

○職人はチープな道具ですばらしいものをつくる。
視点のとらえどころが後の民芸運動と重なるところがある。

○ブルーカラーの男性の肉体と容貌が素晴らしい。

○道の真ん中に野良犬が寝そべっている。
野良犬天国だったようで、刀の試し切りの絶好の的になっていた。

中世は決して暗黒時代ではなかったと述べていたのは誰だっけ?フーコー?
それにならえば、江戸時代は決して暗黒時代ではなかった。
江戸東京建物館だったかな。長屋の原寸大展示を見たことがあるが、
狭い、狭い。何もない。
ものはないが、金もないが、なぜか心は豊かな日々。
よく笑い、草木花を愛し…。
しかし明治以降は西欧に追いつけ、追い越せを旗印に
さまざまなものを失くしてしまった。
捨ててしまったといってもよいのだろうか。
なかなか生硬な文章ゆえなじむまでは骨だが、
なじめば読むスピードもあがる。
なんかタイトルで損しているような気もする。



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結構笑えて、意外と深いです。
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